無限ループって、怖いね
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「お嬢様ー。暇です。何か面白いことしてください」
「……は?」
ある日。夜月と呼ばれる少女が自宅で勉学に励んでいると、突如彼女のお世話係でこの家のメイド長でもある朝陽と呼ばれる少女がそんなことを言いだしました。
夜月はペンを置き、ノートと参考書を閉じて朝陽の方に向き直ります。
「ごめんなさい。今何か、幻聴のようなものが聞こえたような気がするんですけど」
「あ、それ幻聴じゃないですよー?」
朝陽が朗らかに笑いながら答えると、夜月は頬を引き攣らせながら尋ねます。
「朝陽さん。あなたはこの家のメイド長ですよね」
「そうですねー。ついでに言うとお嬢様のお世話係でもあります」
朝陽は変わらず朗らかな笑顔です。
「うん、そうですよね。で、私はこのお屋敷の主なわけですよね」
「そうですねー。お嬢様が『いい加減に1人暮らしをしたいのだけれど』って言った時に旦那様が建ててくださったこの立派なお屋敷。メイド長として細心の注意を払って管理しています」
どことなく自慢げに言ってくる朝陽に、『主に管理してるのはあなたじゃなくて他の使用人でしょうが!』と怒鳴りたくなる気持ちを押さえて、夜月は質問を続けます。
「うん、そうですよね。ということは、あなたより私の方が立場が上なわけですよね」
「そうですねー。まあ、お嬢様より旦那様や奥様の方がさらに立場は上ですけど」
そこはかとなく馬鹿にした風に言う朝陽に怒りを覚えながらも、夜月は辛抱強く会話を続けます。
「うん、そうですよね。じゃあ朝陽さん。さっき言った言葉、もう一回言ってもらえるませんか?」
「お嬢様ー。暇です。何か面白いことしてください」
「だから何でそんなことが言えるんですかっ!」
さすがの夜月の精神も限界でした。一度溢れた怒りはもう止まりません。
「大体あなたは私のお世話係を言う割には何もしないし、家庭教師の役割もあるはずなのに勉強も教えず、挙句の果てに暇だから何か面白いことしろ、ですって?ふざけるのも大概にしてください!」
そこまで言い切った夜月は、はあはあ、と肩で息をしながら朝陽の方を見ます。
すると、なんと朝陽は身体を震わせていました。
それを泣いているのだと思った夜月は慌ててフォローに入ります。
「ち、違いますよ朝陽さん。今の本音ではなく……いえ本音ではあるんですけど、本当はもうちょっとマイルドというか……」
そこまで言ったところで夜月は気が付きました。朝陽が身体を震わせていたのは泣いていたからではなく――――笑いを堪えていたからだと。
「あ、朝陽さん?」
「ぷっ……ぷはっ、あははははははははははははははははははは!!!!!!!」
「な、何が、おかしいんですか?」
「お、お嬢様。お嬢様の、お、怒ってる時の顔、面白過ぎです……あはははははははははは
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