大徳の答えは白に導かれ
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が甦る。
曹操の在り方を知っていて尚、秋斗は桃香を信じて従っていた。
――そこにはどんな想いがあって、どんな理由があったんだろうか。
私には全く分からなかった。ただ……言える事は一つ。私達は信じる事しか出来ない。帰って来てから確かめるしかない。
その時は……ゆっくり話そう。星と一緒に酒を飲みながら、あいつが背負っているモノと考えている事を聞いてやろう。
帰って来ない時は……いや、今は桃香と話をしようか。
「その為に……三人とも、力を貸してくれないかな?」
泣きそうな顔で紡がれた。不安と懇願を込めて、桃香は最初の一歩だというように私達を見回す。
私の答えは決まっている。
曲がらなかったなら、歪まなかったなら、折れなかったなら……どうするか。
隣を見ると星と鈴々は微笑んでいた。
怒りも、悲しみも、この五日で受け止めた。私が現実を叩きつけて、桃香がどう答えるかを見てから、どうするか決めようと話していた。きっと私と同じなんだろう。
「桃香、私はお前の作る優しい世界を信じ、力を貸そう。私の家、幽州を取り戻す為にも、これから奪われない為にも」
「くるくるのお姉ちゃんが作る世界よりも、お姉ちゃんが作る世界の方が楽しいに決まってるし、鈴々はそっちで暮らしたいのだ!」
自然と微笑みを零して私が言い、弾けんばかりの笑顔で鈴々が言った後、星は少しだけ黙っていた。瞳の中でゆらゆらと揺れている光は、きっと私と同じ事を考えてるから。
「私も、あなたの作る世界の一助をさせて頂きたい」
口の端を綻ばせながら目を伏せ、星はゆっくりと言葉を零す。その声音には、私にしか分からない哀しみが掬い取れた。
大丈夫、分かってるから。
何も言わず、しかし星に伝わったのは分かっている。
「ありがとう。三人ともこれからもよろしくね」
ほわほわした桃香の雰囲気に空気が緩み、私は知らぬうちにほっと息を付いた。
桃香はこれでいい。
愛紗は……きっと自分で答えを出しているだろうけど星と鈴々に任せる。
後は朱里だけか。
「うん、これからの乱世、必ず望む世界を作り出そう」
笑いかけて、私と星は天幕を後にした。
鈴々はきっと桃香と沢山話したくて残った。桃香と鈴々と愛紗の絆は強いが、これからさらに強く結ばれるだろう。
二人で歩きながら隣を見ると目が合った。締め付けられる胸の痛みは、間違いなく共に持っている大きな覚悟から来るモノ。
「……星」
「分かっておりますよ。もし、秋斗殿が拒んだなら、我らが止めなくてはならないのですから」
「ああ、聞いた通りの絶望に落ちた後じゃどうなるか分からない。私は秋斗の事を信じてるけど、あいつが私の知ってる、『桃香を信じてた秋斗』でいられたなら、だ
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