大徳の答えは白に導かれ
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ように、結果で示す」
放たれる声には意思の強さ。桃香は一つも迷わなかった、折れなかった、曲がらなかった。
――あいつだったらこんな時、桃香になんて返すんだろう。
ふと、桃香に見つめられてそう思った。
想像しても何も浮かばない。秋斗がどう答えるか、私には全く分からなかった。
しかしまだ、返す話が終わってないので振り払い、目を細めて桃香を見据えた。
「雛里の事は? あいつは絶対にお前の作る輪に入らないぞ?」
「あのね……私、虎牢関であの人に言われたんだ。さっきまでこんな大切な事をちゃんと分からないで、視界を広げようとしないで言い返そうとしてたんだね」
桃香が変わったのは、そういえば連合の途中でだったと思い至る。特に洛陽の前後で大きくなっていた。虎牢関って事は……やっぱり秋斗が変えたのか。
「私は踏み倒した人の憎しみも怨嗟も、何もかも受け止めて平和な世界の土台を造るって決めてる。それは顔の知らない相手じゃなくて、嘗ての仲間でも友達でも家族でも一緒だった事に気付いてなかった」
それがどういう意味を為しているか分かってないとは言わせない。
少しの殺気を込めて、私は桃香に言葉を返す――――
「……じゃあお前は雛里をこ――」
「違うのだ白蓮。お姉ちゃんはそっちじゃないのだ。お兄ちゃんだって……絶対そっちにならないのだ」
――――途中で、ずっと黙っていた鈴々が口を開いた。信じている、と全面に出ている瞳。
星は何かに気付いたようで、ほんの少し嬉しそうに微笑んでいた。
桃香を見ると……泣きそうになりながら鈴々を見ていた。優しい笑みを浮かべて。
「うん。白蓮ちゃん、私は雛里ちゃんを死なせるつもりは無いよ。雛里ちゃんは私と手を繋いでくれなくても、秋斗さんとなら手を繋げるんでしょ? そして秋斗さんは白蓮ちゃんや星ちゃん、鈴々ちゃん、沢山の人と手を繋げる。ゆっくりでいい、ほんの少しずつでいいから、長い時間を掛けて、多くの人の手を借りて……そうやって私の世界を作っていきたい。私が皆と手を繋ぎたいんじゃなくて、誰かと誰かが手を繋いで作り出す、笑顔溢れる世界にしたいの」
光が見えた。
どうしようも無くか細い、されども眩しい光だった。
桃香の根っこは全く変わって無くて、変わる必要も無かった。私には逆らう人を最悪の場合殺す事しか考えられなかった。
桃香が言っている事は他力本願の責任放棄だと言える。でも、近しいからこそ、今まで出来ていたからこそそれが出来ると分かる。
きっと雛里は秋斗の影響を受けてああなった。秋斗が桃香に従うと決めていたから離れないでいた。桃香が乱世を治めると信じていたから……手を繋げた。もう一度それを行うだけなんだ。
ふいに、雛里が去り際に残したと言っていた言葉
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