48:リング・オブ・ハート
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――ぱららっ、ぱららっ。
と、ボクの足元にも仔馬の蹄がが走り回る気配がした。そこには、
「ベリーまで……!」
ルビーの真似をするかのように、いつの間にか姿を現していたもう一匹のミストユニコーン、ベリーがボクの足元を走り回っていた。
ベリーは軽やかに何週かボクの周りを走り回った後、その足を緩めて、最後にボクに足に甘えるように一度だけすり寄り……そしてルビーのもとへと走ってゆく。
すると二匹はじゃれあうかのように男の周りを再びぐるぐる駆けはじめる。男は額の汗を拭いながら、温かいまなざしで足元の二匹を見下ろしている。
その光景は……まさにボクにとっての天国だった。
ああ、そうか……。
これが、ボクの人生の果てに行き着く場所だったんだ……。
そう幸せを噛みしめながら、ボクもそのもとへ、と足を踏み出したとき……気づいた。
歩いても……体が前へと進まない。
「な、なんでっ……」
狼狽していると……ここで男がはじめてボクを見た。
男は温かな表情で何も言わぬまま……ふるふる、と顔を横に振る。
まるで――ここに来てはいけないよ――と言わんばかりに。
それと同時に。
視界が……いや、この世界で唯一白以外だった目の前の風景もが、霧がかかるように白く染まり始めた。
それでもボクは歩み……そしていつのまにか全力であの場所へと走っていた。しかしどんなに足を動かしても体は前へと進まない。
「ま、待って……!! ボクも連れてって!!」
叫ぶと、足元の仔馬達が足を止めボクを見つめる。互いに寄り添いあいながら。男と同じ、ボクを慈しむような、見守るような眼差しで。
「ルビーッ!! ベリーッ!! ――――〜〜ッ!!」
そして全てが白に染まりゆく中、ボクは手を伸ばして男の名を叫ぶ。
◆
「――――お父さんッッ!!」
ハッと目を開ける。
そこは……もうあの白の世界ではなかった。
視界の先には、どこか見慣れたチーク材の木目の天井……。
気づけばボクは、手を天井に伸ばしたまま仰向けに倒れていた。
……倒れている……?
いや、違う。
よくよく感じてみれば、横たえる体には柔らかに押し返ってくるシーツと枕の感触があった。……どうやらベッドの上にいるらしい。
首を左右に軽く転がす。天井に続いて木の壁が広がっていて、静謐なログハウスの部屋の中にいることが分かった。この中では、半開きになった窓から漏れるそよ風に揺れるカーテンだけが唯一動くオブジェクトだった。
「……………」
見慣れたログハウスの部屋の中……そう、ボクはマーブルの宿の一室のベッドで横になっていた。
それだけではない。
ボクの視
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