クズノハ提督遠足 其ノ弍
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本当にありがとう。まさかこんなところで会えるとは思ってなかったけど……」
「ん? 赤城、雷ちゃんと知り合いなのか?」
安藤提督に『赤城(あかぎ)』と呼ばれた白と赤の服の女性は雷の姿を見て驚き、礼を述べた。
「実は昼に空腹で倒れていたところに食べ物を分けてもらいまして」
「ほう、それは凄い偶然だな。何を貰ったんだ?」
「直ぐに食べてしまったのですが、ポテトチップスですね」
ポテトチップスという単語を聞いた瞬間、雷の顔が引きつり始めた。昼間赤城に差し出したポテトチップスは葛葉に内緒で持ってきた、所謂存在を許されぬ菓子である為、雷は葛葉に悟られぬ様必死に隠す必要があるのだが……
「あれ? おやつはもう全部食べたはずじゃ……」
「ちょっ、電!?」
「え、あ! はわわ……」
「ん? どういうことか説明してもらおうか雷?」
葛葉は意外にも鋭かった。雷と電の意思の疎通が出来ていない一瞬の言葉を聞き逃さなかった。
「えと、その、何て言ったらいいのかしら?」
「いーかーづーちー?」
「ご、ごめんなさい……司令官」
「帰ったらまず執務室に来なさい」
葛葉はほんの少し声音を低くして雷に説教の約束を取り付けた。
その光景を見ながら安藤は、葛葉の右で雷に小声で謝る電に声をかけた。
「ところで、電ちゃん。どうして一目で空母って分かったの?」
「それは……あの、弓と飛行甲板を持ってたので。でも、どうして食事中でも艤装を着けてるんですか?」
電は率直な疑問を口にした。
空母の艤装は特徴的で、駆逐艦や巡洋艦の様な砲や魚雷を模した物では無く、航空機や滑走路を模した物が用いられている。模し方にも種類があり、彼女達は弓矢と、甲板を模した板を用いている。
「いつ敵が来るか分からないからな。せめて鎮守府内では艤装を着ける様に言ってるんだ」
「ですが、着けたままではご飯が食べにくくないですか?」
艦娘達は常に艤装と呼ばれる艦の兵装を模したものを装備しているのだが、サイズが相当小さくなったとはいえ魚雷や砲台、飛行甲板には変わりない。その為、艦娘達が密集した時やくつろぐ時は邪魔なので艤装を外すのが普通である。
「私は一種のトレーニングとして義務付けてるね。私の趣味ってのもあるけど」
安藤の暴露に電も言葉を失う他無かった。
「電。いなづまー?」
「はい、何でしょうか司令官?」
安藤との会話が途切れた瞬間に、狙ったかの如く電に声がかけられた。
「お前も自己紹介しなさい」
そう言って葛葉は電の肩を叩いて弓を持った2人の艦娘の前へと促した。
「い、電と申します。どうか、よろしくお願いします」
電は見上げながらその名を名乗った。
「その
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