暁 〜小説投稿サイト〜
或る皇国将校の回想録
第三部龍州戦役
第四十七話 <皇国>軍の再動
[3/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
いたのである。
「さぁて、どうなるか・・・・」
 気負いを見せずに飄然と支隊長は呟き、導術士に向かって告げた
「第三軍先遣支隊長より各隊へ、行動開始」
本隊は静かに、全ての将兵が|徒(かち)で歩み始めた。



同日 午後第九刻 中央戦域〈帝国〉軍防衛線より南東五里
近衛衆兵鉄虎第五〇一大隊本部 


 新城直衛率いる第五○一大隊は、既に三刻程を無言のまま歩いていた。未だ、五里程度しか進んでいないが、訓練を完全に終えられなかった故の練度の低さと、無言のまま周囲を警戒しつつ隊列を整えている事を勘案すれば及第点を与えられる範囲だろう。
 現在、新城直衛が引き連れているのは第五○一大隊、第五旅団の総計5.000名弱である。
第五旅団は既に初期の警戒網を突破し、第五○一大隊が第五旅団を先導している事で新城の手に主導権が転がり込んでいる。何故なら、何もかもを第五○一大隊の齎す情報でしか現在の状況を判断できないからだ。つまるとこ集成第三軍の先遣支隊における第十一大隊とほぼ同じである。違いは本隊――第十四聯隊と第五旅団における導術部隊の充実具合の違いである。
 第五旅団は未だに最低限の連絡用の導術兵しかその編成に組み込まれていない為、その情報の全てを第五○一大隊に頼らざるをえない。
「――大隊長殿」
「なにか」
 やはり無言で付き従っている副官が声をかけてきた。
「この先に森林地帯があります。そこをぬけると二十里ほどは緩やかな丘陵地帯が続きます」
 無意識に視線が側を漂う(或いは浮く)観戦武官の天龍に新城は向けるが、特に緊張した様子はない。もっとも、<大協約>を遵守するのならば彼には公然と頼る事は出来ない、大隊長達は捜索剣虎兵達へ指示を飛ばし、その結果を待つことにした。



 森林の中で将校達を集めると新城直衛は隊形の変更を告げた
「これから我々は第一中隊(捜索剣虎兵中隊)を先頭に大隊全力にて、鏃隊形をとる。
つまり諸君はよくとも中隊規模で行動を行う事になる。で、あるからにはこれからは導術に関して、必要だと判断したら諸君らの裁量の範囲においての利用を許可する。
あぁ、もちろんこれから深部に近づくにつれ、敵の警戒網が厳重になる事を考慮してくれないと困る。大隊長としては以上だ」
 
 それからすぐに、新城直衛は副官と最先任下士官、そして観戦武官を連れて捜索剣虎兵中隊の面々を訪れていた。捜索を任務とする彼らは戦闘導術兵を配属されており、彼らは先述した第五旅団にとっての五○一大隊の如く、彼らがこれからの状況を作り出す事になる。
 故に新城は彼らと話し、彼らが戦意と集中力を保っているか確認する事を自身の義務として定めていた。
「既に始めております、大隊長殿」
 中隊長である本田大尉は報告した。実戦経験が豊富な元
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ