俺に可愛い幼馴染がいるとでも思っていたのか? 中編
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無い筈だ。
「先生。先生にとって俺はどんな生徒ですか?」
自分というこの意識が綱渡りのロープの上を歩いている錯覚に小さな危機感・・・咄嗟に先生に意見を求めていた。先生は生真面目だから、大抵の質問には大真面目に返事をしてくれるという無意識の信頼があったのかもしれない。だからこそ規律に厳しい割に、生徒から敬遠されるに至っていないのだ。中村先生は質問を吟味するように顎を押さえてふむ、と唸った。
「君は基本的には不真面目で、やればできる事を面倒くさがって放置することの多い困った生徒です。ですが頭が悪いわけではなくとても論理的な思考も持ち合わせ、いつでも新しい発見や知識を探している。周囲との付き合いは人物が限定されがちですが、いりこちゃんとの会話はクラスの名物です。弄っているのに時々反撃を喰らって狼狽える君は・・・意外と可愛げがあると評判ですよ?」
「はぁ・・・なんか、教師らしい視点ですね。ちなみに最後の方の可愛げって誰の言い出したことですか?」
「いろいろ、です。生徒側だけでなくね」
悪戯っぽくウインクする中村先生。色々って何ですか、色々って。男としては相手の性別とかを根掘り葉掘り聞きたいようでもあり、しかしこれ以上突っ込んだらがっついているようで恥ずかしい気もする。なんか無意識に相手が美人の人だと良いなとか考えている辺りが、俺のまだ子供たる所以なのだろうか。
しかし、と先生はまじまじと俺を見た。
「君がそんな事を言うのも珍しい。何か悩み事でも?」
「え?あぁ・・・まぁ。例えばだけどさ、先生。聞いてくれる?」
「どうぞ」
促されるままに、俺は俺の内心の不安を出来るだけぼかして吐露した。俺より人生経験の長い先生なら何かためになる事を言ってくれるかもしれないと考えたからだ。先生なら、どうする?
「先生に・・・そうだな、先生が猫を抱えていたとする。真っ白い猫だ。先生はそいつが捨てられてるのを見て不憫になり、飼ってやることにした。猫は元気に歩き回って、その近所を散歩して回る。ところが飼い始めて数日後、お隣さんがその猫を捕まえて先生の所に怒鳴りこんでくる」
「ふむ・・・何か怒らせてしまったようだ。猫が余所で粗相をしたのかな?」
「当然先生はそう思うだろう。ところが隣人はその猫を突きだして”この黒犬を放し飼いにするな!”と大声で注意するんだ。つまんでいるのは猫なのに」
「んー、白い猫を黒犬と間違えるなんて普通は考えられないよね」
「見ればその隣人以外にも、先生に迷惑そうな目線をぶつけるご近所の皆さんが集まっていて、みんな白猫を指さして”そうだそうだ!”と同意するんだ。しかも彼らは、その彼らの言う”黒犬”は何年も前から先生が飼っていた犬で、近所の子供たちは放し飼いになっているその犬を怖がっていると言い張る。何かの冗談かと
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