青年時代前半
第三話 大勝ち
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「ありがとうございます」
宿帳にサインをし、鍵を持って階段を登り204号室の扉を開けた。
中の調度品は大きいものはベッドと机とタンスがあった。机の上には小さな本棚が置かれていて、ベッドの近くには鏡が立てかけてある。
窓の縁には花が生けてあり、その色鮮やかさもさながら窓からさす日差しにより、美しく輝いていて、見ていた私の心を落ち着かせてくれた。
一先ず袋と樫の杖をタンスにしまい、ベッドに寝転んだ。
不思議なことに一回寝転んで体の力を抜いただけなのに急に睡魔が襲ってきた。
目の前が歪んだと思ったら私の意識は何かに吸い込まれていった……。
目が覚めて窓の外を見ると、もう昼ではなく夕方だった。
ベッドから起き上がり、鏡を見ながら乱れた髪を整えるとタンスから袋と樫の杖を取り出して部屋を出る。鍵を閉め、下に降りるとおばさんに、外に行ってきます、と伝えてオラクルベリー周辺の草原に出た。
辺りを見回すと、魔物達が私に近寄ってきている。正直怖かったけれど、杖を構えて呪文を唱えた。
「やっと溜まったなぁ〜」
自分の部屋の机の上に置いた袋の中身を見ながら満足げにそう呟いた。
今の所持金は100G。このお金だとカジノのコインを5枚しか買えなくて、普通だったら負けると少ないコインが更に少なくなったり勝てても5枚という枚数である以上は収入も少ない。
でも、もし特典が本当にその力を発揮するならこの5枚というコインの枚数は私にとって十分すぎるほどの枚数だった。
これで後はカジノが開かれるまで時間を潰すだけ。
何をしていようかなと思っていたその時に部屋の扉がノックされた。
「ミレイちゃん、夕食ができているけれど食べるかい?」
「食べます!」
私はおばさんーー女将のアニタさんーーに返事をして、下の食堂までアニタさんと一緒に降りて行った。
「はい、今日の夕食はデミグラスソースのハンバーグにライ麦パンにサラダだよ。ドレッシングと飲み物は何にするかい?」
「ドレッシングはオニオンソースで。飲み物はぶどうジュースでお願いします」
「了解。しばらくの間席に座って待っていなよ」
私はアニタさんから見えやすい席に座り、しばらく待っていたら料理が運ばれてきた。
「しっかり食べなよ。あんたは食べ盛りの頃なんだから」
「はい。いただきます」
ハンバーグを一口食べてみると濃厚な肉の味が口にじんわりと広がった。サラダの野菜も新鮮な上にオニオンソースの相性も良く、シチューはミルクのコクや具材の旨みが全て凝縮されていてとても美味しかった。
やっぱり生きてるって素晴らしい事を教えてくれるものの一つは
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