青年時代前半
第三話 大勝ち
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いた。吹いてくる穏やかな風を肌で感じながら、大きく背伸びをして深呼吸をすると、前を見据えた。
「よし!オラクルベリー目指して出発!」
一歩前へ踏み出したその時、目の前に魔物が現れた。
確かこいつらはベビーニュートとスライムだった。どっちも可愛いから攻撃するのはつい躊躇っちゃったけど、向こうはそんな私の心情など知らないので容赦なく襲いかかってくる。
「ギラ!」
身を守る為に咄嗟に呪文を唱えると、杖の先から金色の炎が広がってベビーニュート達を焼きつくした。魔物達は、黒い塊のようになると、ドロリと崩れゴールドを残して消えた。
「ビックリした〜」
なんとか初戦闘は無傷で済ませることができたけど、次の戦闘になった時に無事に勝利できるとはかぎらないから、なるべく早くオラクルベリーに移動することにした。
その後もいくつか戦闘はあったけど順調にモンスターを倒して、無事にオラクルベリーに到着することができた。
「ここがオラクルベリーかぁ」
こうして辺りを見回すとゲームの世界にそのまま入ったというよりは、ゲームのオラクルベリーを模した街にいるみたいだ。
本命のカジノは私の目の前に堂々と建っていたけど、カジノの象徴であるネオンはその光を灯していなかった。まだ準備中らしい。
仕方がないので、宿屋の部屋を確保しよう。
そう思い、宿屋に入ると人の良さそうな花柄のピンクのエプロンをつけた従業員(……の人なのかな?そこら辺はよくわからない)のおばさんがカウンターから迎えてくれた。
「可愛い魔法使いの女の子一名御来店!泊まるかい?」
おばさんはカウンターの奥にそう言うと、私の方を向いた。
「は、はい」
可愛いと言われたことに内心嬉しさを感じつつも私はひとまずそう返事をした。
「宿泊の日程は?」
「えーと、少し考えさせてください」
「ああ、いいよ。並んでいる客もいないしね」
おばさんは、にっこりと微笑むと快く了承してくれた。
「ありがとうございす!」
おばさんにお礼を言うと、袋の中を覗き込んだ。中にはモンスターを倒して得たゴールドと薬草(と手紙)がいくつか入っている。今の所持金は50ゴールド。この宿屋の一泊の値段が5Gだから9泊はできることになる。
カジノのコインが一枚につき20Gだから無駄なく泊まるには50ー20=30、30÷5=6で5泊6日がベターかな。
「5泊6日で」
「はいよ。料金は30G」
30Gを袋から出して、おばさんに手渡した。おばさんはGを足りてるかどうか確認し、Gをカウンターの引き出しにしまうと宿帳と鍵をカウンターに置いた。
「宿帳にサインをお願いね。部屋は2階の204号室だよ」
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