洞窟の死闘
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片手に松明を構えながら十字路を左に曲がると、そこにはゴブリンが四匹、悲鳴の主と思われる女性が一人居た。
ゴブリン達が俺達のことを白(・・・) イウムと呼んでいたから察していたが、こんなに早く出会うとは思わなかった。
そう、ゴブリン達に襲われているその女性の肌は黒かったのだ。
言うならば黒イウムってところだな。
まあ、そんなくだらないことはさておき床に短剣が転がっていることから多少の抵抗はしたんだろうな、と考えながら角から一番近くに居て、こちらに背を向けていたゴブリンの首を一つ斬り落とした。
続いて次に近い、ゴブリン達の中でも装備のグレードが高そうな一匹に斬り掛かるが、ゴブリンが手に持っていた蛮刀で上方に容易く弾かれる。
返す刃で飛んできた蛮刀の袈裟斬りを左手の剣で受け流すと、右手の剣で単発片手剣ソードスキル【スラント】を発動させた。
「ぐぅっ!?」
ゴブリンは左手に嵌めたバックラーでスラントを受け止めるが、その予想外の重さに目を丸くして、そのまま後ろに吹き飛ぶ。
予想外の出来事に女性の装備を剥いでいたゴブリン二匹は飛んできたゴブリンに対応しきれず、その巨体に弾き飛ばされボーリングのピンの様に地面を転がった。
……軌道はなんの捻りもなく、速度と威力と正確さのみを追求した一撃だったとはいえ、あそこまで容易くかわされるとは思わなかったな。
「下がれ」
「す、すまない……」
女性に声をかけると、とりあえず俺を仲間だと判断することにしたのか、地面に落ちていた短剣を拾い、俺の後ろまで下がった。
「おお、痛ぇ、痛ぇ。俺様を吹っ飛ばすとは……やるじゃねぇか、小僧」
のっそりと立ち上がって来たゴブリンはそう言うと黄ばんだ歯を見せながらニヤリと笑う。
他の二匹のゴブリンとは明らかに格の違うそのゴブリンは、騒ぐ二匹のゴブリンを黙らせると再び口を開いた。
「白イウムか。どこから迷い込んだかは知らねぇが感謝するぜぇ。俺様の周りのやつらは弱っちくてなぁ……。久しぶりに骨のある相手と戦えるぜぇ!」
テンションが上がったのか、手に持った蛮刀をブンブンと振り回すゴブリン。
完全なる戦闘中毒者(バトルジャンキー)だ。俺も多少その気があるのは自覚しているが、それよりも重度の。
「おっと、いけねぇいけねぇ……テンション上がって自己紹介を忘れてたわ。俺様は族長殺しのゲラルド。お前ぇの名は?」
「……リンだ」
「そうか、リン。お前は俺様に生の喜びを感じさせてくれるかぁ?……お前らは手ぇ出すなよ?そっちの黒イウムもだ!」
ビリビリとした威圧感と共に張り上げた声に萎縮したように二匹のゴブリンが数歩下がる。背後で誰かが倒れたような音がしたので、恐らく腰を抜かしたか気をやっ
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