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【短編集】現実だってファンタジー
俺に可愛い幼馴染がいるとでも思っていたのか? 後編
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かりのさざめの真剣な所を見られた。
まるで作り物の記憶の中に設定された、いりこを守る騎士(ナイト)のように。

「護ってもらっちゃったし・・・えへへ♪」
『・・・・・・』
『・・・・・・』
『・・・・・・』
「・・・・・・あ、いや!あと一寸で行けそうだから態々変えるのは嫌なだけで、べべ、別にさざめ君と一緒に居たいから計画変更してないんじゃないんだから!」

その動揺が全てを物語っているんだけど、と3人は達観した目でいりこを見下ろした。元来隠し事が苦手ないりこはさざめと接するときは自分で自分に術をかけて一種のトランス状態になるのだ。まるで本当に昔さざめと一緒にいたように振る舞えるのも、この自身に掛けた神秘術があるが故である。
だが神秘術で記憶と態度を操れたからって、乙女心をコントロールできるわけではない。さざめの前で不安を隠せなかったのもニヤニヤしているのも、彼女の本心であることに間違いはなかった。付け加えると、さざめに直接触られると解けてしまうのでその都度張り直しが必要なのだが、階段からの落下直後は精神的な余裕の無さから解けたままだった。

任務遂行にあたって、別段惚れる必要は無かったのだが・・・一緒にいる内にいつのまにやら建前と本音は綺麗に入れ替わっていたわけだ。正にさざめのいう通り、きっかけは何でも良かったという言葉が全てを物語る。
彼女自身、”いつのまにか”等と曖昧な形で好きになったというのは言い辛いし、幼馴染の設定が消えたらどう接していいのかよく分からない。今までさざめと接してきた彼女の中には、「幼馴染ならこのくらいしても許される」という一種の免罪符があったのだ。失えば彼とのコミュニケーションの基盤が無くなってしまう。それなしに甘えるのは、彼女にとって非常に勇気のいる行動だった。

そのような諸事情あってさざめにはこれからも幼馴染でごり押しする気なのだが、それはさておき。いつのまにやら参加者3名のホロモニターは天井近くまで上昇し、3人が一人を見下す構図が出来上がっていた。彼女たちの心情を馬鹿正直に表現するこのインターフェイスの性能を内心でちょっぴり恨む。皆の目は据わっていた。

『いりこさん・・・貴方って人は・・・』
『いりこちゃん〜・・・!』
『ホンット、信じられない・・・』
「う、うう・・・」

3人の目線がじと〜っといりこをねめつける。非常に私的な理由で計画を延期させる存在などあり得ない。それも、このひょっとしたらこの星の人類の行く末が決まるかもしれない重大な計画の最中に行なっていい事では―――と皆の糾弾を覚悟したいりこは硬く目をつむる。

『『『先に言ってよ。好きになったんなら仕方ないじゃない・・・』』』

「・・・え?・・・・・・ええーーーーーーーーーーーー!!?」

満場一致で計画変
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