俺に可愛い幼馴染がいるとでも思っていたのか? 後編
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作りものだから”だ。証拠などいくら探しても見つからない。こちらの世界の技術力で痕跡を発見することは出来ない。
彼の危惧する「自分だけが正気なのではないか」という予測は、ある意味正しかった。彼の世界認識は大海原を彷徨う漂流者のように孤立しているのだ。
彼女たちは全員が、こことは違う『地球』・・・こことは違う可能性を辿った地球への「移民」の間に生まれた『地球移民2世』の世代。その世界では地球人類は彼女たちの上司にあたる「サクマ」を除いて滅びてしまったため、こちらの世界の尺度では―――『異星人』にあたる。
そう、彼女たちはいわばパラレルワールドからの異邦人、向こう側の地球から「ワールドゲート」と呼ばれる神秘術―――こちらの世界での魔法に当たる―――を使用してこの世界に侵入しているのだ。侵入している人間は彼女を含めて200人おり、この通信に出ている3人は日本国担当のメンバーである。
正体が公になることなど無い。そも、平和な日本に住む住民たちが、「並行世界の異星から来た地球移民の魔法使い」などという突っ込みどころ満載の存在がいるなど思いつきもしないだろう。おまけに平行世界間では数百年の時間軸のずれが存在するためこちらの地球人の尺度で見れば何と彼女たちは未来人でもある。さしものさざめも『全部盛り』だとは思いもよらなかっただろう。
(この事を考えると、何故かさざめ君に別の意味で申し訳ない気持ちになるなぁ・・・きっと本当のこと言っても信じてくれないよね?)
からかってんのか!と叫びながら自分の頬を引っ張るさざめの顔が目に浮かんだいりこは小さくため息を吐いた。
こんな事を大真面目に言ってもさざめは恐らく信じない。いや、こちらの世界の人間の尺度からすると荒唐無稽も甚だし過ぎるのだ。魔法で記憶を操作しました、でさえ信じてもらえるかは微妙だ。読心の神秘術を使えば向こうの心の声を読みながらの説得も出来るのだが、それが出来るならばとっくに洗脳は成功している。
(もう、さざめ君ったら何でそんなにヘンテコな体質なのかなぁ・・・)
延年冴鮫はこちらの世界では普通の体質だが、向こうの常識に照らし合わせると異常体質だ。神秘術の数列を解体してしまうのだ。
詳しく話すと長くなるが、その体質に名前を付けるとするならば『先天性神秘拡散症』。術の元となる魔力的存在「神秘」をどんどん拡散させてしまうという術師からしたらとんでもない体質である。地球上にこれと同じ体質の人間が彼を除いて他にいないことは確認済みだ。これが悩みの種なのだ。この体質の所為で計画がストップしている。
彼女たちの計画。それは、彼女たちの星に存在する『星の意志』が、この世界に自身と同じ存在がいる事を知ったことに端を発する。『星の意志』は、名前のままその惑星の意志その物。一度
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