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【短編集】現実だってファンタジー
俺に可愛い幼馴染がいるとでも思っていたのか? 後編
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思うと、早く拒絶して欲しかった。そうすれば私だって諦めることが出来たのに。

『こんのぉぉぉーーーーーーッ!!』

『・・・お前を本気で追い払ったことはないだろ?』

『可愛いとも一緒に居たいとも・・・まぁ、ちょっとは思ってるよ』

はぁ、どうしてそうやって、希望を捨てさせてくれないのかなぁ?

やっぱりさざめ君はイジワルだ。


 = =


「ただいまー」

挨拶はするが、返事は返って来ない。それもその筈、両親は共働きなのでまだ帰ってきていないのだ。恐らくあと1時間もしないうちには帰ってくると思うが、さざめ君の家に遊びには行かない。やることがあるからだ。

自分の部屋に向かうため階段を上り、自分の名前が書いたネームプレートのぶら下がるドアのノブを捻る。年頃の女の子の部屋にしては飾りっ気が無いと言われる、簡素な部屋が視界に広がった。

「―――ふう」

―――部屋に入るなり、私の周囲を投影型ホロモニタが一斉に取り囲む。それぞれに違うデータが同時に表示され、多数の数値やグラフが矢継ぎ早に立ち上がる。彼女の持つ投影型コンピュータユニットによるものだった。その技術力は、明らかに現代コンピュータのそれと一線を画している。

ここからは、さざめ君の知るいりこではなく、もう一人のいりこ。
彼を騙して計画を進めている裏の顔。

「こちら認識NDX188、いりこ。これより定期報告を行う。各員応答されたし」
『NDX105、準備良し』
『NDX007、準備オーライ!』
『NDX696、もとより』

ホロモニタの中で私の正面にある3つのモニタに、彼女の友達―――学校のではなく、”組織”の友達が映し出される。3人とも女友達で、”向こう”のスクールで男っ気の無い人生を歩んだ人たちである。定期報告とはいっても格式ばったものではなく、議題は単刀直入にざっくりだ。

『それで、例のカレは今日も”神秘術”による操作を受け付けなかったの?』
「うん、やっぱり全然効果なしだよ。催眠による刷り込みもあしらわれちゃった。かといって集団無意識に流されてくれるほど自我の希薄な人じゃない・・・耐性ありすぎ。多分攻撃系の神秘術も減退すると思うな」
『不味いですにぃ・・・もう計画の第一段階はカレの記憶操作を残すのみとなりつつありますにぃ・・・!』
『サクマ様は焦らなくとも良いと言ってますし・・・やはり彼を洗脳するのは諦めて『エレミア』に計画の細部変更を打診しては?彼自身、貴方を疑っているのでしょう?』
「それは・・・そうなんだけど。サクマ様はともかく『エレミア』にわざわざ通信を送るって言うのも・・・ね」

さざめにはいりこの記憶が無い―――当たり前だ。何故なら、彼の見た写真、記録、そして周囲の記憶の全てが、”本当に彼女の
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