俺に可愛い幼馴染がいるとでも思っていたのか? 後編
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伝ってくれるだろうか?
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あの後、私は先生にもさざめ君にも結構叱られてしまった。事故の一部始終を見られていたらしく、私に弁論や誤魔化しの余地は無し。最初から言い訳する気はなかったが、さざめ君のげんこつはとても痛かった。
でも、あの扉は鍵がかかってたのに、今になって思えば何で開いてたんだろう?その辺は分からずじまいだった。私の予想では口笛吹いてたさざめ君が怪しいような気もするけれど。
帰り道、学校側の備蓄している制服を借りてくたびれたように帰路につくさざめ君の隣を並んで歩く。夕日が眩しく町を照らし、見慣れた商店街が不思議な光彩に包まれる。ここを通り過ぎたらさざめくんの家で、その隣が私の家。
「ねぇ、何で幼馴染じゃないって意地悪言うの?」
「それはそれ、これはこれ。お前を幼馴染でないと考えているのは、俺の記憶に無いからだよ」
「無いって・・・まさか今日落ちたせいで記憶喪失になったなんて言わないよね?」
「さーどうだかな。自分で心当たりない?」
こうして他愛もない話をするのが、好き。この商店街がいっそ無限に続けば、ずっとおしゃべりも出来るんだけど・・・残念ながら道には終わりがある。赤道直下の地球一周高速道路なんかがあれば終わりが無くなるかもしれないけど、そう言う屁理屈を考えてしまうのは捻くれ者のさざめ君と一緒にいるせいだろうか?
見えてきたさざめくんの家の前で、今日の別れを告げる。電話で話したりも出来るけど、それじゃ直接会う時の満足が得られないから。
「明日は先に行ってていいぜー」
今日の終わりも彼は捻くれていた。意地悪だとも思い、でもその一言でさざめ君がいつも通りだ、今日も彼は変わっていないと認識する。
「じゃあ明日も待ってるねぇ〜!」
さざめ君らしいやと笑いが込み上げた私は、精一杯手を振って背を向ける彼を見送った。
= =
彼の前から逃げ出した時、私はさざめ君から逃げたのではない。
彼に対する後ろめたさに耐えられずに、自分から逃げ出したんだ。
きっと彼は私の事を気味悪がってるって、知っていた。馴れ馴れしくするたびに、心の隅で舌打ちをしている苛立たしげな彼を幻視していた。それでも彼は確かに私を追い払おうとはしなかったから、ずっとそれに甘えていたんだ。
”私も幼馴染なんていなかったから”、たとえごっこ遊びでも楽しかったんだ。
いつか決定的に崩壊するかもしれないってずっと恐れてた。でも引金を引くのは怖かったから、彼が引き絞るのを無意識に待ってたのかもしれない。
この関わり合いが楽しくて、引っ張ればついてきてくれる彼に気を良くしてからかって、それで調子に乗るな!って頬を引っ張られて。そんな中でも、彼に「気味が悪い」と本気で拒絶されるかもしれないと
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