第百三話 幻術の終わりその十二
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「いいかな、それでも」
「別にね。理由は二つあってもいいでしょ」
「そうだね、僕達にだけわかる理由でもね」
「家族に隠しごとはよくないけれど」
このことについても後ろめたさはある、だがだった。
この戦いのことは言える筈もない、それならだった。
「この場合は仕方ないから」
「だからだね」
「それでいいと思うわ。じゃあね」
「戦いが終わったら」
「パーティーしましょう」
樹里は上城に顔を向けてあらためて微笑んで話した。
「是非ね」
「うん、じゃあね」
「その時に」
こう話してだ、二人で戦いが終わった時に何をするのかも考えたのだった。残る剣士が上城を含めて二人だけになったところで。
そしてだ、学校に入るとだった。高代と会ったが彼はというと。
いつもの温厚な笑顔で、その笑顔で挨拶をしてきた。二人もその挨拶に返した。
その彼にだ、上城は戦いのことを話した。すると彼は優しい笑顔のままで彼にこう言った。
「では頑張って下さい」
「最後まで、ですね」
「そして生きて帰って下さい」
「生きてですか」
「そうです、必ず」
樹里と同じことをだ、彼に言ったのである。
「そうして下さい」
「戦いを終わらせてですか」
「その通りです、ですから」
「僕はですか」
「勝ってです」
そのうえでだというのだ。
「生きて帰って下さい」
「先生もそう言ってくれるんですね」
「そうです、絶対に」
こう彼に言うのだった。
「何があろうとも」
「そう言ってくれるんですね」
「君と命のやり取りをしていたのかも知れません」
彼もまた剣士だった、それならばだった。高代もまた上城と激しく戦っていた。それでこう言ったのである。
「ですがそれでも。君は私の生徒です」
「生徒だからですか、僕は」
「少なくとも。私は良心的な生徒でありたいと思っています」
戦いを選んだがそれでもだ、確かに高代は良心的な教師であり常にそうありたいと思い努力している。それで今もこの言葉を出したのである。
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