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【短編集】現実だってファンタジー
Mission・In・賽の河原 後編
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彼女出来ない男のさざめが彼女のパートナーになるんなら全然許せる。こいつの事だから口で何だかんだ言いつつ頭の中では結婚式のタイミングまで決めてそうだ。本人は未だに交際を否定してるが。
と、そんな俺の顔を横目で流し見したさざめはぼそりと呟いた。

「言っておくが、俺がお前を糞と言ったのはそこだけじゃねえぞ?」
「そうなのか?」

なんと、さざめが着目したのは俺の傍から聞いたら限りなくホラっぽいあの世談義ではなく、もっと別の所だったらしい。流石は我が親友、イマジネーションが素晴らしい。顔をそらして教室の外の空を見上げたさざめ。こういう態度をとっている時というのは、自分で自分のいう事を少し恥ずかしく思っている証である。

「真実かどうかなんぞ正直どうでもいい。俺はな、結局この世と同じお役所仕事してる”あの世”が気に入らないと思ったのさ。っていうかお前、それ自慢していえる事か。ズルして楽してるってことじゃねえか。それこそ糞野郎だぞ」
「うっ・・・・・・」

想像以上に理由がまっとうで言葉に詰まった。

「カンニング常習犯のさざめくんがそれ言うのぉ?」
「俺はカンニングを誇ったことはないね」
「本当かなぁ?いつかカンニングすれば楽勝とか言ってなかった?」
「悪いことという自覚はある。いつだってカンニングするときは良心が痛む・・・茨で締め付けられるように」
「これ絶対嘘ついてる顔だよぅ・・・」

さざめのユーモアセンスはさておき、確かに言われてみればそんなにいい事はしていない。やらなければいけないと決められたのが気に入らなくて反発したが、今になって思えばそれは両親への供養に手を抜いていい理由にはならなかった。
むしろ自分の前科を自慢しているようで、冷静に考えると今の俺はすごく格好悪いのでは?マル・デ・チンピラーだ。自分が糞人間だと否定できない・・・だと!?

不良仲間として付き合ってきたのに、さざめは何だかんだでそういう所をずばり指摘してくる。不真面目なくせに悪いことは悪いと分かっている。実直なのだ。そんな所があるから、罵倒されても嫌いになれない。

「つーか・・・なんか俺、人として器の差で負けてる?」
「お前の器がおちょこサイズなだけだろ」
「もしくは穴が開いちゃってるのかも!」
「ぉぐへぁッ!?」

バベル完遂の英雄、ベビーブームを作った男、神殺しの切っ先・・・・・・友達にあっさり敗北。
次に死んだときはちゃんと両親に供養しようというか、生まれて来てごめんなさいというか、自分という存在の矮小さを思い知らされたような気分。

何となく、ズルして転生した罰をたった今受けた気がしてならない唐丸だった。

何はともあれ、Mission・In・賽の河原・・・これにて終幕である。転生した子供たちの行き先は、地蔵の
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