Mission・In・賽の河原 後編
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け、2人共同の積石を作った子供がいた。あの時も2人とも救済することになった。ルールの不備だとして改正する動きもあったのだが、供養の塔の完成条件にメスを入れる危険性を恐れて結局そのまま問題は放置された。それが、こんな形で牙をむくことになろうとは。
「だが、こういってはお前に悪いが見事な手だ。確かに供養の塔は『完成させてしまえば取り消しは出来ない』。こうしてしまえば、誰が完成させたかは断定できなくなるし、出来た以上は救済を行わないのは理屈に合わない」
「完成した瞬間に供養は終了する。賽の河原にある掟・・・いったいどこでそれを知ったのか知りませんが、その努力の方向性をもっと別の所に向けられなかったのですか?あの子たちはぁ・・・・・・」
一人一石。時間稼ぎの間に、ほかの腕利き石積みの監修の元、河原の子供たちは次々に石を積んでいった。そして石を積み終わった子供は他にやることもないので次の鬼の襲来に備えて再び三段積石の生産に移っていった。
積石に適した石はそこいらに大量に転がっていたため、普段よりも積み上げるのは早い。更に、鬼が第一の供養の塔を通り過ぎた時には腕利きたちが僅か十数分で供養の塔包囲積石を再生させてしまうものだから、次の鬼も地獄を見る羽目に。
さらに先ほど発覚した法力を可能な限り消耗させるために、子供たちは何度も何度も鬼の周囲をかごめかごめで波状包囲。散々法力を無駄打ちさせて鬼の精神と肉体を情け容赦なく追いつめてみせた。
そうして3人目の鬼も本命である第二供養の塔に手を付けられないまま区画を通過。そして、4人目の鬼が中腹あたりに来た時点で、全員が1回以上石を積んで、精鋭部隊が最後の石を積むことで8つの供養の塔が完成。後は菩薩が来るのを待てばいい。バベル計画、完遂である。
「しかし、バベル計画か・・・神に崩された塔を計画の名前にするとは、我々に対する皮肉かな」
「・・・本当にそうでしょうか?」
神の怒りに触れたため崩された、と一般には言われている旧約聖書の「バベルの塔」だが、実際にはこの塔の崩壊には諸説ある。そもそも建設の理由も、神に挑戦する、威嚇する、近づこうとするなど目的がばらけており、さらに言えば崩されたのか勝手に崩れたのか、あるいは実は崩れていないのかに至るまでも諸説ある。
通説では、神によって統一した言語を話せなくなり意思疎通が取れなくなったため内部崩壊した、というが。恐らく問題は崩壊した事ではない。
当時の人類にはそれを作る技術力があった。本当に天に届く可能性があると神に思わせるほどの勢いがあったのだろう。それは全知全能である神に、知能を持っていようと所詮は造物でしかない人間が並ぶという事。ならば神はそれを快く思わないだろう。神にも追いつけるとおごれる人類に身の程を教えなけえればいけないとも考えるか
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