Mission・In・賽の河原 後編
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突な「第三次ベビーブーム」を引き起こし、社会にそこそこ大きな混乱を引き起こしたという。
その規模は過去二回起きた鬼の失態を大幅に上回るものであり、転生と子供の区域再分配など大量の魂の処理に追われた閻魔は、その職務について初めて部下の鬼を無罪放免にして馬車馬のように働くよう命じざるを得なくなるほどの多忙さだったという。
彼らは神の法を曲げて自由を勝ち取った。
子供たちは、死後の世界にて神殺しの剣となったのだ。
= = =
「やられたな」
執務室で閻魔大王のため息交じりの声が響いた。
5メートル近くある巨大な裁判長用の椅子に座る、さらに巨大で恐ろしく強面の男性。鬼でさえもその男の前では萎縮する強烈な存在感を放つその男はしかし、呆れと脱力の入り混じったやるせない態度で笏を弄んでいる。その姿から普段の威厳は感じられず、体も一回り小さく見える程だ。
「やられましたね」
それに返答するは、あのお人よしの地蔵菩薩。今回起きた事の顛末を閻魔に伝えに来た彼もまた、閻魔に似たり寄ったりの表情でくたびれたため息をついた。
「はぁ〜・・・・・・」
「はぁ〜・・・・・・」
「・・・気が滅入るから、溜息はやめろ」
「もう滅入っていますよ・・・はぁ〜・・・」
「はぁ〜・・・・・・」
浄玻璃の鏡によって映し出されたもの。それは、子供たちの解脱作戦「バベル作戦」の概要と、その実行内容だった。
まず、最初の鬼が通り過ぎたことを確認した瞬間に時間稼ぎ用の3段重ね積石を大量に生産。全員がかりとあらばさしもの鬼でも苦戦は必至だ。そしてその後、彼らはさらにメンバーを分割した。
まず最初の供養の塔の周囲で積石をする腕利き精鋭部隊。
次に『第二供養塔周囲にも石を積む』大多数部隊。
そして、そこで『あること』を済ませたのちに関所〜第一供養塔間と、そこから第二供養塔の間で更に積石を重ねて時間を稼ぐメンバーの計三部隊に役割分割していたのだ。
この第二供養塔の仕掛けがバベル作戦のキモだった。
最初の鬼が通り過ぎたのちに2つの部隊でひたすら鬼の時間稼ぎを行って、すべての積石を崩すだけの時間を奪い、「鬼が崩しきれない積石を生む」。これが出来るかできないかこそ、この作戦において最大の注目点だった。
鬼が一区画で動き回れる時間は半刻と決まっている。その規律を知っていればこその時間稼ぎ。腕利き連中があのリスキーな時間稼ぎせず、菩薩が彼らを救済した後ならばこの作戦は恐らく失敗することになったろう。
そしてその間に残りの部隊がやる事。大多数部隊から第三の部隊へ移る条件。
それは―――
「一人一段ずつ積石して。共同作成の塔を完成させるなんて・・・・・・信じられない」
過去に一度だ
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