Mission・In・賽の河原 後編
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」「普通に無神論者だったんだけど、死後に否定されましたです」「お前ら真面目に返事返してやれよ!地蔵兄ちゃん困ってんぞ!」
「へ・・・・・・?はひ・・・っ!?」
10人、20人、30人・・・自己申告者は次々に増え、とうとうその数は―――この区画の子供全員である256人に達した。全員が全員、乱立するように挙手をして我こそはと名乗り出て来るこの事態に、菩薩は大混乱に見舞われた。当然のことながら、普通に考えればそんなに多くの人数いる訳がない。
「ちょちょ、ちょっと待ちなさい!どうして積石が8つしかないのにこんなに多く・・・というか全員名乗りを上げているのです!?嘘つきは功徳を積めませんよ!?」
塔が8つなら救済者は8人。ならば残りの皆は嘘つきという事になる。たとえ軽い気持ちで付いた嘘であれ、故意の嘘であれ、それは煩悩によるもの。輪廻転生をするには不要なものだ。積石には清らかな心を持った者を選定する意味もある。不正は許されない。
「まったく、皆で嘘をつけば私の判断がうやむやになって救済を受けられる、なーんて考えていないでしょうね?私、期待してたのと違ってしょんぼりです・・・」
やむを得ない。嘘を暴いて本当のことを言っている子だけ連れてゆこう。そう考えた菩薩は、印を結んで法力を込める。
「オン・カカカビ・サンマエイ・ソワカ!!浄玻璃の鏡、再現!!」
子供たちを覆うように、半透明の幕が覆う。形状こそ鏡ではないが、これは物理的な反射をする鏡ではない。浄玻璃の鏡とは、映った者の生前に辿ったすべての出来事が映し出され、その行動が周囲に与えた影響までもが映し出される閻魔大王の所持品だ。
地蔵菩薩の出現させたそれは、法力によってその機能を再現したもの。とはいっても閻魔大王の物とは違って死後の情報を把握するために法則が書き換えられており、機能は同じでも映すものは違うのだが。
とにかくこれで、誰が嘘つきか分かる。
その時の地蔵菩薩はそう信じて疑わなかった。
だがその思惑は、予想の遥か斜め上を大陸間弾道ミサイルのように突き抜けていったのだが。
「そ、そんな・・・嘘でしょう?こんな悪ふざけの類で・・・」
「現実見ろよ、地蔵菩薩サマ?―――俺達を救うのは、俺達を於いて他にない」
その日、賽の河原『”ゐ”の九十九区画』からは、しばしの間、完全勝利を祝う子供たちの歓声ばかりが延々響き渡り、謎に包まれた『バベル計画』の概要がとうとう明らかになるのであった。
少年少女たちの前代未聞の解脱事件はその余波を他の区画にまで及ぼし、『”ゐ”の九十九区画』から、ろ・は・に・ほ・へ・との九十九区画まですべてのエリアの巡回時間を狂わせ、実に4万人近い子供の供養完遂、解脱を引き起こした。更にこの影響は現世の日本で唐
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