暁 〜小説投稿サイト〜
とある碧空の暴風族(ストームライダー)
新たなる力へ
Trick66_“ケリ足”ではなく“軸足”
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も朝風呂に入っているのかな?
 よし、行ってみよう♪)

タオルを手に露天風呂へと入ってみたが、信乃はいなかった。

「やっぱり2日目は警戒されるか・・・でも朝一番のお風呂は気持ちいいから良し♪」

浸かりながら手足を伸ばして今日の訓練について考える。

これでもA・T初心者同盟では最年長になる西折美雪15歳。
カリスマ性では御坂や婚后が上だが、陰ながら支える事はダントツの実力を持つ。

「みんな、≪歩く≫は出来るようになったし、≪走る≫の時も
 体幹はある程度できている♪

 あとは速度だよね〜♪」

信乃の試験は100mを『一定時間』内に≪走る≫事。

その『一定時間』は明確に説明していないが、佐天と黒妻が1週間も掛けて
合格したタイムと言っている。

「でも、これって信乃の戯言(ごまかし)だよね〜♪」

美雪は言葉のトリックに早々に気付いていた。

佐天達が始めて1週間のタイムといっていた。
しかし、その1週間は全てA・Tの練習に注ぎ込まれていたのか?

答えは否。佐天達が練習を始めたのは1学期。当然学校も行っている。
ならば放課後の数時間しか練習していない筈だ。

1週間は7日。放課後の練習を3時間と想定する。
合計練習は21時間。

それに対して試験を受ける美雪達はどうだろうか?
午前中の3時間。午後の2時間。自由時間を3時間。
それを3日間で練習する。合計練習時間は24時間。

練習時間の合計は、佐天達よりも美雪達の方が多いのだ。

3日間という一見不利な状況でも諦めずに進む事が出来るか、それを信乃は問いたかったのだ。

1日目、というよりは説明の段階で気付いていた美雪だが、
信乃が用意した試練を潰すわけにはいかず、婚后にも他の皆にも内緒にしている。

「ほんと、信乃は素直じゃないよね♪

 ツンツンデレツン、デレツンツン♪
 ツンツンデレツン、デレツンツン♪」

そんな素直じゃない所も愛しく思える。これが惚れた弱みかと思いながら機嫌良く町歌を口ずんでいた。



その後、試験組と白井、佐天と黒妻が朝食を一緒に食べてそれぞれ練習を開始した。

「転ばずに走れるようになったけど・・・」

「そうですわね・・・思うように時間を縮める事ができませんわ」

美琴の言葉を引き継いで婚后が呟いた。

炎天下の中、必死で練習をしているため全員が汗を大量に出している。
それでも弱音を吐く人も、練習のペースを落とす人もいなかった。

全員が100mを7秒前半で走っていたが、それからが問題だった。
7秒の壁。何度も走っても7秒以内で走る事が出来ない。

「みんな、一度集まってもらえるかな♪?」

「どうしたの、雪姉ちゃん?」

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