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【短編集】現実だってファンタジー
俺に可愛い幼馴染がいるとでも思っていたのか? 前編
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せているが、こっちだって不満があるわ。お前の正体が掴めないという現状が。

「もう・・・顔を合わせない日が珍しいくらいなのに、何でいつもそういう事言うかなぁ。何?私以外に好きな女とが出来たから古い女は切り捨てるって奴?サイテェだよそういうの!さざめ君のお父さんとお母さんにチクってやる!」
「出会って1か月の謎女にいきなり恋が出来るか。そして・・・・・・・彼女なんかできん」
「知ってる。何年の付き合いだと思ってんの?さざめ君ったらいつも変な所で卑屈なんだから」

ニヨニヨ笑ってこっちの顔を見上げるこいつは無性に腹が立つ。小生意気な奴め。
誰なのか全くわからないのに10年来の友達のようにくっついてくるこの女はマジで何者なのやら。毎日のようにうちの玄関の前で俺が出てくるのを待っている律儀すぎる奴だが、最初は悪質なストーカーに引っかかったのかと本気で疑った。

名前は田楽入子(でんがくいりこ)。何だ田楽にいりこって。いりこ出汁で茹でて田楽味噌でも塗るのか。変な名前だと言ったら俺の”冴鮫(さざめ)”だって十分変だと言い返された。ぎゃふん。
俺に並んで歩くいりこを見る。ボブカットヘアーを髪留めで止めてて女子にしてはそこそこ身長がある。顔良し、スタイルも出るとこ出てる、勉強も出来るし運動も人並み以上、学校での生活態度も比較的良好、そして誰に対しても優しく接する・・・所謂優等生ちゃんだ。

だがしかし、俺はその日初めていりこという女性を知覚したのであって、今まで一切会ったことはないし見た覚えもない。神に誓ってもいい、幼稚園以前となると自信はないが、これはそう言う問題でもない。

というのも、覚えていないのは俺だけで、”俺以外の皆はいりこを子供のころから知っている”というのだ。俺がいりこと一緒にいる光景も見飽きたものだとまで言われた。新手のドッキリか何かかと思っていろんな人に聞いても似たような回答が帰ってきて、耐えられず両親にあれは誰だっけと訊いたら「喧嘩でもしたのか?」とものすごく心配そうな目で見られて地味に傷ついた。俺がアイツを知らないという事実を可能性から排除されている、つまりいりこは当然として俺と一緒に過ごしてきた存在として知覚されているのだ。

幼稚園くらいの頃からいりこは俺の後ろをちょろちょろついてきて、小学校では虐められていたいりこを守る小さなナイト(他称)だったらしいが、記憶にございませんである。友達にそれとなく俺といりこの関係を訊くと「まだ付き合ってないの?」とまで言われた。俺とあいつの関係がそこまで良好に見えるのか?
そっこり家のアルバムや学校の卒業アルバムを確認すると、確かに仏頂面の俺といりこらしき女の子が映っている周囲の話と時期を照らし合わせてもこれといって不審点や矛盾は存在しない。

だからこそ、ぞっとする。自分
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