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落ちこぼれの皮をかぶった諜報員
 第12話 “生きる”決意をした幼き記憶
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「……わ、分かった……にいちゃん、い……今まで……あ……ありが……とう。僕……にいちゃんの分まで……生きて……みせるよ……」
勇人は走っていく。生きるために。


「…………俺の方こそ……ありがとう……最後まで……一緒に……いてあげられなくて……ダメなお兄ちゃんで、ごめんな……」

炎が燃えたぎる中、男の子はそう口にする。そして――






『ゆうとおおお!!! 生きるんだあああ!!!!』
男の子は走っていった勇人に聞こえるように叫んだ。




「!!」


男の子の声が聞こえた。『生きろ』と……。


ザアァ……


雨が降ってくる。
それでも勇人は走り続ける。


「わっ!!」

ドシャ!!
勇人は泥に足を取られて転ぶ。


「…………にいちゃん……にいちゃ……ん」




「わああああああああ!!!!」


“裏”に……幼子の悲鳴が響き渡った。

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