第12話 “生きる”決意をした幼き記憶
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「はっ!! もう遅えよ!!」
「させるか!!」
男の子がナイフを持って男に切りかかる。
「おっと! 油断できないガキだな」
「勇人!! 早く!!」
「う、うん! にいちゃんも早く来てね!!」
勇人はそう言い、外へ出る。しかしそこには――
「おっと!! 逃がさねえぜ!!」
突然現れた男に首を掴まれ持ち上げられる。
「ぐう!! 離して!!」
「離してといわれて離すバカはいねえよ!!」
男はより力を強める。
「…………!!」
「よく見りゃあ、将来化けそうじゃねえか……。こりゃあいい!! 組織に引き渡して金にするか!!」
「!?」
男がそう口にすると、勇人は驚愕の表情をする。
組織に引き渡されると痛めつけられて、耐えられなかったらそのまま死に、耐えたとしても一生下っ端として扱き使われ、倒れるまで働かせられる。たとえ逃げたとしても再び捕まったりしたら、腕を切り落とされたりしてもう逃げられないようにされてしまう。実際に近所に住んでいた子供たちもほとんどが組織に連れて行かれた。
「そんなの……まっぴらごめんだぁ!!」
勇人はポケットから刃物を取り出し、男の手首を切りつける。
「ぐあ!! このガキいいい!!」
男は勇人を離し、手首を押さえる。
「うわああああ!!!」
勇人は悲鳴を上げながら、男に刃物を突き立てる。
「ぁ、あぁ……」
男は倒れた。しかし勇人は男に刃物を刺しては抜き、刺しては抜くのを続ける。
「はあ……はあ…」
「やったの……?」
勇人がそう呟くと――
ドゴォン!!
「!?」
突然爆発音がする。音のした方を見ると今まで住んでいた場所が燃えている。
「!!!! にいちゃん!!」
彼の心配をして部屋へ戻ろうとするも火の勢いが強く、まともに近づけない。
「にいちゃん!! にいちゃん!!!」
力の限り男の子を呼ぶ、すると……
「勇人!? 大丈夫だったか!? ぐ!!」
火の向こうから 彼の声が聞こえてきた。
「にいちゃん!! 早く!!」
「……いいか勇人!! ここはもう少ししたら崩れてくる!! 早く逃げるんだ!!」
「やだ!! にいちゃん!! 死なないでよぉ!! 死んじゃやだぁ!! にいちゃん!!」
「勇人!! 何が何でも生き残れ!! お前だったらもう1人で生きていける!!」
「無理だよぉ!!! にいちゃんがいないとやだぁ!!」
「我が儘を言うな!!」
「!?」
「1人になっても生きていかないとダメなんだ!! いつかは、お別れをしないといけないんだ!! 俺の分まで生きるんだ!!」
「……………………
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