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落ちこぼれの皮をかぶった諜報員
 第12話 “生きる”決意をした幼き記憶
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寂れた街並みが見てくる――。




「にいちゃん……早く帰ってきて……」
ボロボロのTシャツを着て、穴が開いた短パン履いている4歳、5歳程の小さい男の子が誰かの帰りを待っている。
そう、勇人だ。



「にいちゃん……大丈夫かな……はあ……おなか減ったなぁ……」
勇人がそう呟いたら――




「ただいま! 勇人、遅くなってごめんな」
勇人より5歳くらい年上の男の子がやってきた。年上の男の子も勇人と同様にボロボロの服を着ていて、ところどころに痣や刃物で斬られたような傷がある。


「にいちゃん!!」
勇人が満面の笑みを浮かべながら帰ってきた相手に駆け寄って抱きつく。


「こらこら、勇人。危ないだろう」
「よかった……。にいちゃん、すっごく心配したんだよ?」
「ははは、大丈夫だって!! 俺はそう簡単に死なないからな!!」
「でも、にいちゃん……怪我してるよ……」
青い痣があるところに勇人が心配そうに目を向ける。


「なーに、これぐらい、怪我の内に入らないよ。勇人も大きくなったらこんな怪我をたくさんするんだから、一々狼狽えてちゃだめだぞ?」
「でも……」
「ここじゃ、これが当たり前なんだ。毎日誰かが死んでいるんだよ。勇人も見ただろう? あんなに強そうな大人が目の前で殺されるところを」
「うん……でも……」
「勇人は優しい子だな。でも、ここじゃ優しさなんて意味がないんだ。生きるためにどんなことでもしないといけないんだ」






「……………………」
「うん……僕……もう怖がらない! にいちゃんみたく強くなる!」
「よく言った!! さすが、俺の弟だ!! それじゃあ、ご飯を食べたらすぐに戦う練習だ!! 今日のご飯は腐ってないぞ!!」
「ほんと!? やった!!」



「にいちゃん、それだけでおなか一杯になるの?」
勇人と男の子が仲良くパンを頬張っている。
いや、頬張ると言う表現は間違いか……。 何せ、彼らの食べているパンは大人の手のひらサイズだからだ。さらに、それを分けて食べている。
勇人の方は男の子の方と比べれば大きいが、男の子の方は当然小さい。勇人はそれを見て申し訳のない気持ちになる。

「勇人は小さいからな 少しでもたくさん食べないと!! それに、しっかり食べないと強くなれないぞ。俺は強いからもうたくさん食べたってことだから大丈夫だ!!」
「うん……にいちゃん……ありがとう……」





「よし!! 勇人、思いっきり来い!!」
「うん!! 今日こそはにいちゃんに勝つよ!!」




勇人はちいさい刃物を構え、それに対し、男の子は素手だ。
勇人が刃物を突きだす。もちろん、男の子の首に目掛けて。
勇人は彼から、既に人
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