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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十五話 酔う
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には関わりたくない、そう言いながら民主共和政のために戦った。ラインハルトを高く評価しながらも彼と戦い続けた。そして何百万人も殺した。あの戦いは本当に避けられなかったのだろうか……。
「ミハマ大佐、そろそろ失礼しましょうか」
「は、はい」
「ヤン提督、グリーンヒル少佐、おもてなし有難うございました。ヤン提督、貴方と話が出来て良かったと思います。これは本心ですよ、皮肉ではありません。では失礼します」
俺とサアヤが席を立ってもヤンは俯いて座ったままだった。そんなに落ち込むなよ、落ち込みたいのは俺の方なんだから……。
宇宙歴 796年 5月 30日 第三艦隊旗艦ク・ホリン フレデリカ・グリーンヒル
トントンとミハマ大佐がヴァレンシュタイン委員長の部屋をノックした。少ししてドアが開いた。現れた委員長は未だ平服のままだった。良かった、休んではいなかったようだ。
「如何したのです?」
「グリーンヒル少佐が閣下とお話をしたいと……」
委員長が私に視線を向けてきたので“お願いします”と軽く頭を下げた。
ヴァレンシュタイン委員長はちょっと困ったような表情を見せたが“サロンに行きましょう”と言って歩き始めた。私とミハマ大佐も後に続く。委員長も独身だが私達も独身だ。遅い時間だから部屋の中に私達を入れるは避けたのだろう。サロンに向かう途中私達三人は誰も口を開かなかった。
夕食は酷いものだった。親睦を深めるため、不仲説を払拭させるために行ったのに結果はその全てを裏切るものになった。ヤン提督とヴァレンシュタイン委員長の関係があそこまで冷え切っているとは全然気付かなかった。ミハマ大佐も驚いていた。何時の間にあそこまで冷え切ったのか……。今日の話から判断すれば最近、フェザーンでの戦い頃からだろうか。
サロンには殆ど人気が無かった。僅かに十五人程の人間が五つのグループに分かれて静かに談笑している。私達を見ると皆が驚いたような視線を向けてきた。その視線を無視し人気の無い一角に私達は歩いた。委員長が“ここにしましょう”と言って椅子に座る。私とミハマ大佐も椅子に座った。
「今日は大変申し訳ありませんでした。さぞ御不快な想いをされたと思います」
私が謝罪すると委員長は手を振って
「謝らなければならないのはこちらの方です。グリーンヒル少佐の配慮を無駄にしてしまった。ミハマ大佐にも嫌な想いをさせてしまいました。申し訳ありません」
と言った。困ったような顔をしている。
「もっと早い時点でヤン提督と話をしていれば良かったのですけどね、それが出来なかった。多分、ヤン提督と言い合うのが嫌だったのだと思います。あの人が好きだから喧嘩したくなかった。その所為で憤懣が溜まってしまい、結局は爆発した。ヤン提督も言いたい事が言えず溜まって
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