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落ちこぼれの皮をかぶった諜報員
 第11話 “生きる”意志
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「単細胞だねぇ」
いつぞやの誘拐犯を思い出す。


「天原!! 集中!!」
「了解」


神崎先輩はブラドの周囲を移動しながら二丁拳銃を放つ。
勇人はブラドの腕を回避しながら切り付け、すぐに離脱して、ヒットアンドアウェイを繰り返す。


「ちょこまかとしやがって、猿が」
「猿って……レディに向かって失礼ね!」
「あぁ!? 何言ってやがるんだ、ホームズ4世。それにレディだと? おまえみたいなガキがか?」
「なんですって? あたしはもう16よ!」
「800年生きてる俺にしてみれば、人間なんてみんなガキだ」
「800年生きてるなら、隠居でもして茶でも啜ってろよ! クソじじい!!」
勇人はブラドを斬りつけながらそう口にする。


「くそガキ!! あんまり調子に乗らない方が良いぞ!!」


ブラドは暴れるのを止めると、こちらに背を向け屋上の隅に立つ携帯電話用の基地局アンテナの方へ向かった。


その間にアリアと勇人はキンジのもとへ……。


「やになっちゃう! あいつ、全然攻撃が効かないわ!」
「アリア……ブラドには弱点がある」
「あの目玉模様ですね」
「そうだ。ってなんでお前が知ってるんだ?」
「そうよ!! あんた、何でそんな事知ってんのよ!?」
神崎先輩が疑うような目で僕を見る。
「天原……おまえは……」
遠山先輩も何か疑わしげな眼で僕を見る。


「質疑応答ならあとで! 今は時間が無いでしょ?」
勇人は真剣な顔で言う。


「わかったわよ! ただし、あとで覚悟しときなさい!」
「だが実際、四つ目がどこにあるのかわからない以上、勝負は賭けられないぞ」
「いえ、四つ目の場所は既にわかっています。ていうかさっき発見しました」
「「何だと(何ですって)!?」」
「あの……揺さぶらないで……」
アリアが勇人の肩を掴み激しく揺らす。


「どこにあるの!? 早く言いなさい!」
「い、今言いますから! ……しかし、僕が攻撃するには狙いづらい場所なので、先輩のどちらかにお願いしたいんですけど……」
「どこだ?」
「さっき、首を刺した時に見えました。口の中……舌に描かれた目玉模様がね……」
「口の中、なるほどね……」
「わかった、そこは俺がやる。アリア、キミには両肩を頼めるかい?」
「わかったわ」
「じゃあ僕は右脇腹ですね」
それぞれが攻撃する場所を示し合せる。


バキンッ!!


「「「は?(え?)」」」
何かがへし折られたような音がし、3人で顔を見合わせた後、ブラドの方を向いた。


離れたところでブラドが数メートルはあろうかという携帯基地局アンテナをむしりとっていた。
それを槍のように足元に落とすと、地響きがこちらまで届く。

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