十四話 初影
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いる。
???ぱちゃっ
足元から水溜りを踏んだような音がする。
静まり返った町に、その音は大きく響いたように聞こえた。
「ん・・・・血!?」
ふと下を見て驚愕し、そのあと直ぐにこの状況を理解する。
(まさか!影時間!?)
どうせなら寮にいるときに来てほしかった。
こんな街中では安全もクソもない。
かと言って寮内が安全というわけではないのだが、やはりこういった状況になるとビビってしまうものだ。
そのときの混乱が寮内の自分の部屋ならある程度は緩和されるからと、0時以降は出歩いたことがなかった。
(こんな時にっ!・・・嬉しいのか嬉しくないのかわかんねぇな)
影時間に存在していられるということは、俺にも適正があることが証明されたため、嬉しくなくはないのだが。
そんなときだった。
???グチョリグチョリ
何か得たいの知れないものが後ろから迫っている音がする。
振り返ると、そこには棺おけのオブジェクトに並んだ町の風景に溶け込むように黒い、黒いスライムのようなモノがいた。
スライムでないのは、その一部に顔らしきお面が存在しているということ。
(シャドウ!)
何か、戦いに使えるものはないかとポケットを探る。
いきなりのシャドウの登場に焦る。
(何か!何かないのか!)
本当なら、真田先輩や桐条先輩のいる安全な場所でこのような状況になりたかったのだが、なってしまったものは仕方ない。
今は、そんなことを言ってたらこっちが『影人間』になってしまう。
(くそっ!ポケットには財布、手にはコンビニ袋で、その中にはポテチとプリンとか!なんか刃物を!)
『直視の魔眼』があるため、指でやろうと思えば、多分、多分戦えるのだろうけど。
もし、シャドウに線が見えなかった場合を考えると刃物が最も好ましい。
(くっそ・・・これでもし線が見えなかった、最悪じゃねーか!)
焦る。焦る。
勇気MAXの『漢』はどこえやら。
足が震える。
冷や汗が止まらない。何故立っていられるかが不思議だ。
しかし、シャドウはこっちの気もしらずに近づいてくる。
そんな時、
「いやぁぁ!来ないで!!」
聞きなれない女の声が聞こえた。
(誰だ!?)
バッとそちらへ顔を向けると、同じ学校の制服を着た女が、向かいの道路にいるのを見つけた。
学校で見たことはないため、多分先輩だろう。
この時間にいるということはあまり素行が良くないのだろうが、その先輩らしき女の顔は前髪が長く、正直どちらかというとイジめられてるような顔にしか見えない。
「来ないでぇぇ!!」
女はヒステリック気味の声
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