第一話〜流れ着く世界〜
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ているのか、コクピットの中で渋面を作り、その瞳には憎しみを浮かべる。
彼女の脳裏には守るべき主の姿が映し出される。今回の演習も彼女の護衛を優先させる為に断るつもりであったが、上司からの勅命であった為に断りきれなかったのだ。護衛の任務を果たしきること無く死ぬことは、彼女にとってのこの上ない屈辱を与えそうになる。
だが月詠の予想は外れ、コクピットが潰される前に武御雷の腕から伸びる近接ブレードが目標としていた目の前の要撃級を切りつけた。
「…………え?」
自機の損傷がないこと、そして自分がまだ生きていることに驚き、呆けた声が漏れる。何が起こったのか疑問に思うのとそれを見つけたのはほぼ同時であった。
「弾痕?」
既に死骸となった要撃級の体には幾つかの穴が空いていた。だがそこからは体液が出ておらず、代わりに焼け焦げた跡があった。
「一体なにが――」
『下がって!!』
「?!なんだ!」
いきなり響いた声に思わず月詠は声をあげる。そして機体のカメラを振りその機体を見つける。
「白い……戦術機?」
そこには全身が白く、左腕にシールド。そして右手には見慣れない銃を持った機体が滞空しながらそこにいた。
だが、月詠はそれを戦術機と断定できなかった。彼女の知る戦術機には腰の左右に跳躍ユニットが付いている。だがその機体にはそれが付いていない。そんな状態で滞空し、更には背部にあるはずの武装担架アームも存在しない。
端的に言って、その機体の見た目はシンプル。だが、腕や足は既存の戦術機よりも太く、力強い印象を与えて来る。
『何をしているんですか!早く後退を!!』
機体に注目しすぎていたのか、その機体から発せられたと思われる声が再び響く。
(子ども?)
まだ声変わりしきっていない声を耳にし、月詠はパイロットがまだ若者であると予想した。
相手が外部スピーカーを使用していることから、通信機での会話はできなかったとあたりをつけ、月詠も同じく外部スピーカーで返事を送る。
「貴様の所属はどこだ!何故ここにいる!」
『そんなことを言ってる場合じゃないでしょう!今はッ!』
会話が続きそうになるが、それもレーダーが発する警告音で中断させられる。外部の映像を見ると赤い体が特徴的な小型種である戦車級が、群れをなしてこちらに向かってくるのが見える。
「問答は後回しだ!負傷者の撤退のための時間を稼ぐ!」
要件を述べると月詠は外部スピーカーを切り、機体を発進させる。そんな彼女に一瞬遅れて、白い機体もそれに続いた。
ユニコーンガンダム・コクピット
「無茶をしてっ!」
全天周囲モニターに映る赤い機体を見ながらバナージはそう吐き捨てる。
彼
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