第一話〜流れ着く世界〜
[1/8]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
廃墟
その街は既に死んでいた。
そこにあるのは瓦礫と枯れた植物だけ。人はもちろん生物が存在することが相応しいとは決して言えないような、そんな場所であった。
だがそこには確かに人型が存在した。といっても、人の形に鳥の翼を取り付けた巨人であったが。
それはジェネレーションシステム中枢で死闘を繰り広げていた機体、フェニックスガンダムでる。
「………ッ、一体何が起きた?」
フェニックスのコクピットの中で意識を失っていたマークは、目覚めるとぼやける思考を鮮明にするために軽く頭を振る。
意識がはっきりしてくると、機体が仰向けに倒れていることを平衡感覚が伝えてくる。そこで初めて、マークは月の低重力ではなく地球の標準的な重力を受けていることに気付く。
先程まで待機状態になっていたコクピットのモニターを起動させ、マークは付近の環境を確認していく。
「荒野だと?」
その荒れ果てた大地にもちろん見覚えがあるはずもなく、疑問は増えるばかりであったが、とにかく付近の捜索を始めるためにも機体を起こし、ステータスチェックをし始める。
(機体の破損状況は小破。損傷箇所は主に装甲。ナノマシンの可動により修復中。スラスター類と操縦系、電装系はほぼ無傷か)
少しの間、コックピットの中にはコンソールの操作音が響く。自分が気を失っていたことを含め、多少混乱していた思考がその音を聞くことで落ち着いていく。
ある程度、作業が終わった時にマークはそれに気付く。システム画面の端にメールが受信されているというサインがあることに。
内容を確認する為にマークはメールを開くと、短い文面が表示される。
“黒き不死鳥”
そしてその文章の後にはパスワードを打ち込む欄が添えられている。
「…………」
なんのことか一瞬わからなかったマークであったが、黒き不死鳥というフレーズには覚えがあった為、自分のイマジネーションのままにキーボードを操作し、パスワードを打ち込む。
“アプロディア”
打ち込み、エンターを押し込むとコクピットの画面の一部に小さなウィンドウが開き、そこにはジェネレーションシステムのニューラルネットワーク、アプロディアが映し出された。
「やはりお前か、アプロディア」
『あまり驚かれないのですね、マーク・ギルダー』
コックピット内のスピーカーから慈愛に溢れ、澄み切った女性の声が響いて来る。
普段であれば、自分の機体に何故彼女のデータが存在するのか疑問に思うところだが、先ほどからの自分に起こった事の方が不可思議であるため、特に驚くことはなかった。
それどころか、寧ろ自分が知っている存在が現れたことの安心感の方が大きかった。
「メールの文章を見て、連想し
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ