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乱世の確率事象改変
変わらぬ絆
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前提にね」
「お前……それがどういう事か分かってるのか?」

 返された白蓮の声は冷たい。星の瞳も各段に冷えていた。
 自嘲気味に小さく笑って、一瞬だけ目線を斜めに落とした桃香は泣きそうな声を紡いだ。

「……ふふ、私だって勉強してるもん。自分がしてる事くらい分からないわけないよ。絶対の信頼関係在りき以外の交渉っていうのは、自分達の望みを叶える為に相手との化かし合いや駆け引きは絶対に必要なモノ。曹操さんは白蓮ちゃんとの交渉でも命が救われる最善の選択を引き下げたから……私達もそうされる可能性が、ううん、そうなるのなんか分かり切ってた。だからね、私は民の声っていう武器を使って、同盟を組んで貰う為に相手を……脅したんだよ。お互いの利は確かにあったけど、刃を向けてる事には変わりなかった」

 茫然と顔を上げた朱里は桃香に見つめられて……涙を零した。
 透き通った色が伝えるは信頼と慈愛と懺悔。朱里の考えている事の一端を分かっていても、それを自ら選んで行ったのだと伝えていた。既に彼女は洛陽での出来事を越えてから、昏い部分を理解せず掲げられるだけの、見ざる聞かざる知らざる王では無くなっていた。
 王としての覚悟を高め、されども友の諦観を行ってまた絶望に落ちた桃香はずっと思考を繰り返して過ごしていた。どうすれば平和になるのか、自分はどうすればいいのか、一つでも多く出来る事を、もっともっと、と。倒れるギリギリまで仕事を行い、愛紗や朱里に諭されても。
 自分が卑怯者と罵られようと、桃香は多くの人が救えるならそれで良かった。怨嗟も罵声も、あらゆる負の感情を受けてでも逸早く平和な世界を作って、先の者に平和の継続を託し、自身は礎となる事が彼女の全てになっていたのだから。
 堪らず、愛紗は桃香に声を掛けようとしたが、ふるふると首を振られて押し黙った。

「まだ話は終わってないから……終わってから皆の思った事を私にぶつけて欲しい。これからも私について来てくれるかどうかもその時に決めて」

 やんわりと放たれた言葉には、誰かが離れて行くやもしれないという恐怖があった。雛里の泣き叫ぶ声や凍るような瞳と、秋斗が絶望の淵に零した一つの涙を思い出して。
 皆がコクリと頷いたのを見て、桃香は大きく息を吸う。心を落ち着かせ、怯えを振り払って気合を入れた。

「私がどれだけ粘っても、今を生きる人の命の方が大事だって言っても、曹操さんは同盟じゃなくて通行許可の案を提示し続けた。対価を私が後々治めた国に変えてまでね」

 違和感を覚えた。誰もが、その場に居る誰しもが桃香の雰囲気の変化に気付いた。しかし何も言わず、そのまま桃香の説明を聞き続けた。

「最後に脅し返されて、私は曹操さんの対価を呑んだ。私を慕ってくれる兵達の命を一つでも多く救う為には……それしか考えら
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