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ロウきゅーぶ 〜Shiny−Frappe・真夏に咲く大輪の花〜
Ten・Till The Day Can See Again
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にひんやりとした感覚が。視線を移すと、その手には半分に切られた、真っ赤に熟したグレープフルーツが。

 「これ、『打ち上げ花火』(ファイアーワークス)だよ。マホっ」
 「もっかん……うん、ありがとなっ!!!」
 「そして……ほら、お前の分だロリコン」
 「ミホ姉……ああ、任せろ」

 すばるんは袋に入った物をフラッペにぱらぱらとふりかけていく。色とりどりのカラースプレー、それは夜天の空からこぼれ落ちた星くずの欠片達のようだ。

 「いつだって君は、あの子達をいつも輝かせてくれた……そんな貴方に、『輝ける壱番星』(トゥインクルスター)の称号を送らせてもらうわ」
 「先生……みんな……」

 何の誇張もない。私達全員が集まって一つの作品でチームなんだ。


 「どうしたんだ、こんな所に呼び出して」

 時間は九時前。神社の御前に私はすばるんを呼び出した。

 「用があったんならさっきでも……」
 「いや、ほらあれじゃん。さっきはいつ他の奴らが来るか分からなかったし。何つーの、何か勢い任せでって言うかさ……」

 う〜ん、客観的に自分を見たら相当滑稽に違いない。無理してる、ダイブン。
 顔から火が噴きだしてもおかしくないし、逆に青ざめて昇天するのも致し方無いことだ。
 それでも、自分のけじめだ。別にこれで何が変わるわけでもない。

 「また、この町を離れて、私らなんかが想像もつかないような辛い思いをいっぱいして、それでも大好きなバスケに打ち込んで、いつかそのプレーを観てくれるみんなを幸せにするんだろ? だからさ……言わせてよ」




 「すばるん、大好きだよ」



 言えた。客観的に見ても全然問題ないはずだ、練習した饒舌な台詞がちゃんと出せたかな……
 私はすばるんに背を向け、あははと乾いた笑いを漏らす。

 「わざわざ呼び出してごめんな、でも次言えるのはいつか分かんないし。ああでも別にそんな深く考えなくても良いからさ、別にそんなんじゃ……」
 「真帆」

 何だよすばるん、行かせてくれよ。別に大した話、じゃ……
 振り返った瞬間、私の視界は遮られ優しい温もりに包まれた。

 「すぐ戻ってくるから……絶対に、もう悲しませたりしないから」
 「だっ、だからいってんじゃん! そんな意味でいっだんじゃ、な゛いっで……んぅっ、んぐっ……」

 大人になりたかった。子供の自分が嫌だった。だから必死で強くなろうとしていたんだ。
 だけど、彼の前でなら。


 少しの間、子供の自分を愛せる気がしたんだ。


 「うぅううぅうあぁああぁぁぁああああぁああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」
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