7月7日、涙… その二 不意打ち
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どうして、この年頃になるとその話題で騒ぎ出すのだろう。
誰が誰を好きでも、軽々しく口にして良いものでもないだろうに。
どちらも好きでもないと言おうとして誰かに背後からいきなり口を塞がれ、一気に体が固まる。
「アホ。そんなん俺に決まっとるやないか」
ドキっ。
その声が聞こえただけで鼓動が跳ねる。
「ええっ!?まさか、もう付き合っとるとかっ」
「いんや、まだ口説き中。邪魔せんといて」
なーんだと、笑い声を上げるクラスメートたちの中一人、理由も判らぬ苛立ちに顔が熱くなる。
この少年は一体、何を言っているのだろう。
そんな素振りなどこの数ヶ月一度も見てはいない。
どうせ笑いを取るためのネタに使うのなら自分じゃない誰かにして欲しいと、そこまで考えてはてと気づく。
何をそんなにイライラしているのだろう、他愛のないことじゃないか。
いつものように流せば良い…。
「ほらほら、次の授業は移動教室でしょ。皆も行こうっ」
侑士の腕からするりと脱出し、机の上に置きっぱなしにしてあった理科の教科書を胸に抱える。
何人かの教室に残っていたクラスメートたちは既に違う話題に花を咲かせながら廊下に出て行った。
「……」
「……」
今度は彼と二人きりになってしまったことに内心妙な居心地の悪さを感じつつも、ようやく履き慣れた先の方だけ赤い上履きで床を蹴って廊下に出ようとしたなの花を今まで聞いたことがない低い声色が呼び止める。
「………………冗談であないなこと言わん」
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