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ソードアート・オンライン《風林火山の女侍》
参:攻略
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リシールは音も無く着地する。

「……12時ですか」
「マジか……ちょっと走るぞ、このままじゃ時間が無くなる」
「うん、二人ともモンスター気をつけてね」

 二人は当たり前だと言わんばかりの顔でアスナにアスナをみて、アスナもそれに応じるよう頷く。そしてキリトのマップを元に周りに気を配りつつ可能な限りのスピードで先を急いだ。
 だがそんな心配をよそにモンスターは出現せず迷宮区入り口へとたどり着く。軍の人間は姿が見えなかったのですでに入ったのだろう。二人がゆっくり迷宮区にはいるのを見て、セリシールは大きく息を吐いて落ち着かせてから自身の武器である太刀の柄を握って二人に続いた。


 ―――――――


「……っ!」

 昨日風林火山のメンバーからマップデータを受け取ったセリシールはまだ探索していない奥からの攻略となり途中で二人とは別れた。といっても安全地帯からは近いし一人だと言うこともあって少しでも危なくなったら戦闘を放棄し逃げ込めるように心構えはしてある。

「………そこっ」

 トカゲ剣士の横に切りつけてくる攻撃を身をかがめながらのバックステップで華麗に避ける。そして一旦太刀を納刀し溜め込むように構える。見る人が見れば隙はないように見えるが見た目隙だらけ、そう判断したのかセリシールに向けレザーアーマーやバックラーを装備したトカゲはソードスキル《スラント》で距離をつめ大きく振りかぶってくる。これを受ければ間違いなく死に至るがそれをただ待つほど馬鹿じゃない。大きく足を踏み込ませて目の前から姿を消す。セリシールはいつのまにか姿を消し次の瞬間、はるか後方で刀を振りぬきいつものように刀をうしろにまわしてカチンと納刀し、それと同時に敵がパリンという音を立て消滅する。

「………ふぅ」

 現実世界と同じ色をした自身の桜色の髪をかきあげて一息をつく。まさか自分がみんなと協力して攻略なんて最初の頃は思いもしなかった。自分に仲間などいるはずもない。そう思っていた。でも今ではあんなに騒がしいギルドの一員としてこの最前線にいる。正直にいえば今でも混乱している、というのがセリシールの思いだ。風林火山の何時ものテンションに…というのもあるがやはり共闘している今の自分に、だろう。

 だが、彼女はそれを楽しいと感じている。確かに攻略スピードは下がり効率も悪く、かつての自分からは想像できなかったことだ。

「……私も、いいんですよね……?」

 そう、誰かに問いかけるように空へとつぶやく。その顔には優しい小さな笑みが浮かんでいた。


 そんなこんなで、最低限のソードスキルで敵を屠りながらクラインたち風林火山本隊が攻略を完了させたという安全地帯へとたどり着いた。現状、辺りには他に人はいないらしく……

「……」


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