第一章
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これ以上働いたらそれこそだ」
「身体壊すどころじゃないぞ」
「いえ、大丈夫ですよ」
けれど鈴木さんはそれでも船に乗り続けた。幾ら消耗しても船が、そして海が好きだった。だからあくまで船に乗りたかったのだ。
「やれますから」
「いや、もう無理だろ」
「御前は船乗りには向いてない」
そして遂にはこう言われたのだった。
「もうな。辞めろ」
「船から降りろ」
そう言われた。しかし鈴木さんはそれを聞こうとせず船に乗り続け遂には。本当に身体を壊し倒れてしまった。ベッドから起き上がれなくなってしまったのだった。
こうして鈴木さんは船から降ろされた。そのまま会社のデスクワークに任された。そんな鈴木さんに対して会社の人達は口々に言った。
「もう御前は船には乗れない」
「だからここで仕事しろ、いいな」
「船には乗れないんですか?」
「そうだ」
こう言うのだった。
「二度とな。御前には向いてなかったんだ」
「だからここで仕事しろ」
「絶対にな」
「いえ、僕は」
しかしであった。鈴木さんは言ったのだった。
「船が好きです。また船に乗りたいです」
「船にってだからそれはもう無理なんだよ」
「不可能なんだよ」
誰もが口々に言うのだった。
「もう御前はな。身体も壊したしな」
「それで何で船に乗れるんだよ」
「いえ、乗ります」
鈴木さんの決意は強かった。その都度はっきりと言うのだった。
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