第百三話 幻術の終わりその二
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「海か」
「はい」
まさしくそこだとだ、声は答えた。
「そうです」
「ギガンテスでもないか」
「既に三人の剣士にそれぞれ三人のギガンテスを出しています」
実はギガンテス達にもそれぞれ名前がある、神であるが故に。
「今日のお二人にはそれぞれエピアルテースとミマースを出しました」
「ではコズイレフ君には」
「彼にはクリュティオスを」
この巨人をだったというのだ。
「出しました」
「そうだったのか」
「既に三人の巨人を出していますので」
そのギガンテス達はというのだ。
「出すことはありません」
「では私の相手は」
「海にいて」
そしてだというのだ。
「海を恐れさせる怪物です」
「色々いるがな、海の怪物も」
ギリシアは海洋国家だ、それ故に神話にも多くの海の怪物も出て来る。実際に上城達にしても海においても闘ってきている。
「そのうちのか」
「そうです、特に強大な」
「相手が出て来るのか」
「その相手に貴方が勝てば」
その時はというのだ。
「貴方は戦いを降りられます」
「そして負ければ」
「終わりです」
その生命自体が、というのだ。
「そうなります」
「簡単な話だな」
「そうですね、それでは」
「砂浜ではなくか」
「海です」
まさにだ、その中でだというのだ。
「そこで闘ってもらいます」
「そうだな、それではな」
「では」
こう話してだ、そしてだった。
マガバーンは先に進んだ、公園を出てだった。
砂浜に入った、白い砂浜には今は誰もいない。この場所もまた夜の静寂と漆黒の中に包まれていた。それは海もだった。
昼は青い海も今は黒い、そこには何も見えない。ただ波の音が時折聞こえるだけだ。空には星が輝いている。
その海を前にしてだ、マガバーンは言った。
「見えないな、何も」
「しかしです」
「怪物の方はか」
「見えています」
他ならぬ彼をというのだ。
「今も」
「そうか、ではな」
「どうされますか」
「入る」
海、その中にというのだ。
「そうさせてもらう」
「そしてですね」
「帰ってだ」
そしてだというのだ、生きて。
「直食を楽しむ」
「そうされるおつもりですか」
「朝のメニューは決まっている」
にこりともせず言うマガバーンだった。
「それはな」
「それは何でしょうか」
「カレーだ」
インド人らしいメニューと言えた。
「ただ、明日は日本のカレーだ」
「それをですか」
「食べる」
はっきりと言った言葉だった。
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