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久遠の神話
第百三話 幻術の終わりその一
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          第百三話  幻術の終わり
 マガバーンのところにもだった、声が来た。声は夜の中一人で己の部屋にいて本を読んでいる彼に声をかけた。
「宜しいでしょうか」
「今から」
「はい、そうです」
 まさにと言うのだった。マガバーンに対して。
「戦いから降りて頂くのなら」
「闘いそして」
「そのうえで、です」
 それをけじめとするかの様にというのだ。
「お願いします」
「わかりました、それでは」
 マガバーンは声の言葉に確かな声で答えた、そうして。
 その開いていた本を閉じた、付箋も入れたうえで。
 そうしてだ、こう言ったのだった。
「続きは闘いの後で」
「読書のですか」
「そう、それが終わってから」
 こう声に答えるのだった。
「そうするとしよう」
「そうですか、それでは」
「では闘いの場は」
「外で」
 そこで、というのだ。
「近くの公園で」
「森の中でか」
「そこに用意しておきました」
 こう言うのだった。
「では宜しいでしょうか」
「構わない」
 こう答えた声だった。
「それでは」
「それではですね」
「そうだ、行こう」
 こう言ってだった、そのうえで。
 マガバーンは席を立ってだ、己の屋敷を出てだった。
 屋敷の近くにある公園に入った。夜の公園は静かで誰もいない。音は静寂だけが聞こえる。その中を進んでだった。
 そうしてだ、公園の森の中に入ってだった。
 声にだ、その奥の木々の中で問うた。
「この場でか」
「少し先の場所で闘ってもらいます」
 まさにという返事だった。
「貴方の最後の闘いを」
「そうか」
「ここで構いませんね」
「闘う場所は問わない」
 これがマガバーンの返答だった。
「一切な」
「そして相手も」
「それも問わない」
 こう答えたのだった。
「一切な」
「そうですか。それでは」
「森の中にいる敵か」
「何を思い浮かべられるでしょうか」
「ギリシアの森か」
 今は荒地の多い国になっている、だが神話の頃は緑も多かった。マガバーンはその頃のことを思い浮かべつつ言うのだった。
「何がいたか」
「森とばかり思っておられますね」
 ここでだ、声はこう彼に言ってきた。
「それとばかり」
「森ではないのか」
「はい、実は」
 ここでだ、声の話していることが変わった。その言うこととは。
「違います」
「では何処だ」
「この公園の先です」
 今マガバーンが先に進んでいる森ではなかった、そしてだった。
 彼はこの森の先つまり公園の先にあるものがわかっていた。この公園もまた彼がよく行き来する場所だからだ。
 そしてだ。公園の先にある場所は。
 マガバーンはまだ見えないその
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