救世主
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アは直ぐ様否定した。
ピクリ、とルナの眉が上がり、セスは意外そうに目を見開く。
「これが私1人の戦いなら、とっくに諦めている」
オーロラガーデンを支えに、ヴィーテルシアは立ち上がる。
その脚はがくがくと震え、立っている事さえやっとな状態だった。
「だが、これは私1人の戦いではない。私がここに立っていられるのは、誰かの力があったからだ」
それは、外で戦っているギルドのメンバー達であり。
それは、別の塔で戦っているであろうメンバー達であり。
それは、固い意志を更に固くする、囚われたティアの存在であり。
「私が諦めるという事は、仲間の協力を拒むという事に等しい」
ぐぐぐ・・・と、体に力を込める。
息を切らし、痛みが走り、変身する魔力も攻撃系魔法を使う魔力も残っていないけれど。
「人の善意を拒んで倒れる事を許されている程、私は立派な存在じゃない」
全て、倒れる理由にはならない。
ヴィーテルシアが倒れるのは、自分の中から戦う意志が消えた時。
何度確認しても、何十回何百回と確認しても、自分の中には戦う意志がある。
なら、まだ戦える。
絶対に、立ち上がる事が出来る。
「・・・そうですか」
ふぅ、とルナが息を吐いた。
その目が、凍る。
冷たい眼差しが、真っ直ぐにヴィーテルシアを見つめる。
「そこまで言うのであれば、知り合いとして、私がトドメを刺しましょう。我が惑星力を用いて」
右手が、淡い光に包まれる。
その色は青。
青が何を示すか、ヴィーテルシアは知っていた。
(・・・最後まで強がる事しか出来ないとは、情けない事だ)
目を伏せる。
戦う意志はある。が、動けない。
諦めていい理由は無いはずなのに、その意志に反して体が動かないのだ。
杖を振るえば攻撃系魔法は一発くらいは放てるだろうが、今杖を攻撃に使えば、ヴィーテルシアの体の支えが無くなる。
(すまない、ティア・・・もう、動けないみたいだ)
がくり、と。
ヴィーテルシアは膝をついた。
支えがあっても立つ事が出来ない。それは、限界が来た事を表していた。
―――――否、とっくに限界は来ていたのだ。
ヴィーテルシアがそれを限界と認めず、無視し続けていただけで。
(皆・・・後は、頼んだ、ぞ・・・)
ふらり、と体が後ろに倒れ込む。
それを視界に入れながらも、ルナの右手には魔力が集まっていた。
「さよなら、リーシェ」
その小さい呟きが、ヴィーテルシアの耳に届いたかは、解らない。
右手に魔法陣が展開し、青い光を帯び――――――
「水星の砲撃」
その手から、水の砲撃が放たれた
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