第二部 vs.にんげん!
第22話 ほのおのりょしゅう!
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両膝をついた。
「殺した」
一言、ウェルドはそう言って、両手を見つめた。
ジェシカが身を引く。
「おい――」
「殺した――俺が――殺した――」
不意に体をのけぞらせ、ウェルドは髪を掻き毟る。
そして叫んだ。
獣のように、長く。
同じ時刻。病院の二階では、ティアラが光の中で目を覚ます。椅子に掛けたまままどろんでいたティアラは、目を開け、窓の外の光景に、そのまましばし見とれた。朝日はかつてこの町で起きた惨劇を忘れさせた。すべての屋根に積もる雪は、外界の多くの人の悲惨な末路を忘れさせた。虹色に光る氷柱は、病室で苦しむ人々のうめきを忘れさせた。
ティアラは椅子の上で姿勢を正し、目をこすり、伸びをした。いつもの日課で、衝立の奥で眠る男の様子を確認しようとする。
「ディアスさん?」
横たわる男に近付き、顔を覗く。
そして息をのんだ。
ベッドの傍ら、ティアラは一人、両手で口を覆った。
美しい朝だった。
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