暁 〜小説投稿サイト〜
やはりぼっちが商人でSAOを生き残るのはまちがっている。
彼と彼女の朝は早い。
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短剣を突き付けていた。
これでも毎朝の戦闘でそこそこ鍛えられている。戦いもせず、盗賊もどきに成り下がるしかなかった男たちになど遅れはとらない。
「次からは、相手の装備を見てケンカを売るんだな」
大方、子供二人とみて油断したんだろうが……
「うっせえガキが! 勝ったと思ってんじゃねぇよ!」
俺の言葉を侮辱ととったか、逆上男が俺の拘束の中で暴れ回る。
それを抑えきれずに拘束が解けてしまう。
典型的な敏捷重視である俺の弱点、筋力でのごり押しを偶然つかれた形になる。
「おおおっ!」
それをチャンスと見たか、片手剣を持った別の男が走り込んできた。
メチャクチャに振り回された剣。
俺は何とか大勢を立て直し回避を図ったが、その剣先が軽く腕をかすめる。
男のプレイヤーカーソルがオレンジに染まる。
後ろ飛びで間合いをとる。
見ると、小町は二人の男を相手に善戦していた。
元から適性があったのか知らんが、小町の槍捌きは正確だ。才能あるんじゃないかなー、と身内の贔屓目抜きにも思えるくらいだし。
そうでなくとも、俺たちは攻略組最底辺くらいのレベルはある。
まあ素人二人くらいどうにかなるだろう。見た感じ、こいつらソードスキルも使えないようだし。
本来なら俺が撹乱し小町がトドメ、というのがモンスター戦の基本戦術なのだが……
「まあ、仕方ないか」
敏捷極振りの力、見せてやろうじゃないか。
「寝るぞー、小町」
「うん……」
SAOでは夜になるとできることがあまり無いので、自然と就寝時間が早くなる。
そこそこ値のはる風呂付き宿の、俺用のベッドに入ると、続いて小町も潜り込んできた。
「おやすみ……お兄ちゃん」
「……おう」
小町が俺の布団に潜り込んで来る様になったのは、始まりの日以来ずっとだ。
そもそもが一人用のベッドな訳で、二人入ると結構狭い。
相手が小町だから、間違える、なんてことは万が一にも無いが、これが別の女子だったら絶対寝れないだろうなと思う今日この頃だ。
まあ、仕方ないことだとは思う。
昼間は明るく振る舞っているが、内心不安なはずだ。
デスゲーム開始から一ヶ月、既に二千人のプレイヤーが死亡した。
次は自分かもしれない。
誰も彼もがそう神経をすり減らしていた。
「お兄ちゃん……」
「……何だ?」
その声のか細さは、無視できる様なものではなかった。
「お父さんもお母さんも……どうしてるかな……?」
「…………」
どう答えて良いか分からず言葉に詰まる。
こちらから現実の様子を知る方法は、全くと言っていいほどなかった。
「…………んなもん、心配してくれてんだろ。多分」
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