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やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
きっと、小西早紀の望むものは。
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りでテーブルを囲むのをいとも当然そうに……こいつもリア充かよ。何て思ってから、俺もさして変わらない状況に置かれていたことを思いだした。

「そっかそっか、じゃあ今度私にも奢ってくれるのかー?」

小西が立ち上がり、彼に上目遣いでにじり寄っていく。あざとい。

「い、いや、DVD割っちまったからって言ったじゃないっすか」

顔を赤くしてたじたじとなった彼は、そこでようやく俺の存在に気づく。

「…………あれ、先輩、そっちの人は?」

明らかな警戒の目。ああ、それで野次馬か。

「……あーーーっ!! 昨日の人じゃん」

いきなり向こうのほうから叫びが聞こえてきた。何事かと、そちらを向くと件のジャージ少女が目を丸くして近寄ってくるところだった。
とりあえず無視。

「知り合い?」

「まあ、ちょっとな」

俺に女子の知り合いがいるのが意外だったのかそう聞いてきた小西だったが、さして興味はなさそうですぐに話を戻してきた。

「こちらヒキタニくん。ウチのクラスに来た転入生」

「……3-Bの比企谷だ」

「えっ、ヒキタニじゃなかったの!?」

「ちげぇよ」

「じゃあ言ってくれればいいのに……」

そのやり取りで王子様の警戒もいくらか解けたようだった。

「二年の花村っす。よろしくお願いします、比企谷先輩」

「そうかしこまらんでもいいだろ。多分、俺にお世話になることなんてないからな」

「もう、そんなこと言わない」

言いいながら小西はバンバンと背中をたたいてくる。地味に痛い。

「ずっとこんな調子の奴だけど、同んなじ都会出らしいからさ。花ちゃんも稲羽の先輩としてサポートしてやるんだよー」

「いや、だからいいって」

俺の主張は華麗にスルー。すっかり調子が戻ったなー、何て思っていると、小西ははたはたと制服をはたいて言った。

「それじゃ、そろそろ休憩終わるからさ」

そういやそうだ。
バイト女子が来てからそこそこ時間が経ったが、大丈夫だろうか。ま、関係ないか。

「じゃあ小西先輩、また」

「おーっす」

軽く手を振って店内へ向かおうとした小西は、俺の横を通り過ぎるときにほんの少し立ち止まった。

「…………花ちゃんと、仲良くしてやってね……」

聞き取れるギリギリの声量で呟かれたその言葉に、俺はとっさに反応できず。
後ろ手にまた手を振った彼女をただ見送った。

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