暁 〜小説投稿サイト〜
やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
きっと、小西早紀の望むものは。
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の休み時間なんてたかがしれている。適当にあいずちをうって時間を潰そう。



小西に連れられ、フードコートのある屋上にいくためにエレベーターにのる。

「……ヒキタニくんって、変わってるよね」

ボタンの前に立つ小西がポツリと呟いた。

「よく言われる。他にも異常とか特殊とか不気味とかもな」

「いやそういうことじゃなくってさ……」

小西は苦笑い気味に続ける。その表情に、また昨日のような陰りを見た気がした。
何かを見定めようとするように、あるいは何かを期待するように、うっすらと縁取られた目が細められる。

「……ほら、何で私が学校休んだのにバイトには出てるのかとか、聞かないじゃん」

 ……………………

え、そうなの?
やべえ、本気で気づかなかった。

「……その顔、気づいてなかったんだ」

一転、じとっとした眼がキツいです。

「いやほら、俺って人の顔とか覚えられないからさ」

「隣の席の子の顔くらい覚えとけってーの」

慌てて弁解する俺の頭をぽすっと叩く。
いってーな。
でも、それで思い出した。昨日のニュース。小西は死亡した山野アナの第一発見者だったらしい。
大方、その関係で事情聴取でもされていたのだろう。

何の前触れもなく死体を見るというのは、一体どういう気分だったろうか。きっとそれは、棺に入った親を見るのとはまた違った感情なのだろう。
それでも、どちらも同じ人の死だ。それに関わった俺と小西に、違いはあるのだろうか。

がたんとエレベーターが目的の階につき、扉が開く。

「……あーあ、何かどうでも良くなっちゃったや」

そう言ってぐいっと伸びをした彼女の表情は、差し込んだ日差しのせいでよく見えなかった。






フードコートで、小西の猛攻をのらりくらりと躱しつつ、興味無い小西の話しを聞いたりして時間を潰すこと十数分。

小西と同じくジュネスの制服に身を包んだ女子がこちらへ近寄ってきた。
何というか、イマドキな感じだ。化粧の感じとか、小西よりもよっぽど露骨にリア充。

それに気づいた小西が、彼女へ手を上げてあいさつする。

「おーっす、ミカ。交代の時間?」

「んー、まだもうちょっといけるっしょー。…………あれ?」

バイト女子が俺を見咎め、ことりと首を傾げた。

「…………」

面倒なシチュエーションである。
ああ面倒だ。

同じテーブルに向かいあって座る一組の男女。そしてそれを発見した知り合い。
テンプレートすぎて怖いくらいである。

いやまて、そもそもテンプレートとは物事の基本形を示すもので
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