第十一章 追憶の二重奏
第十話 剣の鳥籠
[7/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
在感を見せていた。
それを感じ取り、更に士郎の口元に浮かぶ笑みが深くなる。
そして、士郎の意識がその繋がりに触れ―――、
―――同調―――開始―――
士郎の身体に爆発的な力が流れ込む。
引き裂かんばかりに体内で暴れまわる魔力の奔流を、士郎は押さえ込むことなくそのまま自身の魔術回路にブチ込んだ。二十七本の魔術回路に自身の許容範囲を遥かに超える魔力が流れ込む。紫電を走らせ流れる魔力。体内から焼き尽くされるような熱と痛みを不敵な笑みで噛み殺し、士郎は吠えるように詠唱する。
「――――投影、開始!!」
自身の心の内に手を伸ばし、無限に広がる荒野に突き刺さる剣を掴み取る。
何時も通りの投影と同じ。
―――だが。
「――――憑依経験、共感終了」
その数が―――桁が違った。
その数―――。
「――――工程完了。全投影、待機」
優に百を超える。
全行程が終了し、数百の剣が姿を現す。切っ先を上下左右前後に向け規則性もなくバラバラに空に浮び上がったっている。ただ一つだけ規則性が感じられるのは、剣と剣の間隔。剣は大体十メートルの合間を持って展開していた。十メートル、それは常人ならば不可能だが、士郎ならば助走なしでも軽々と跳べる距離である。それが襲い来る十体のワルドを飲み込むように空に浮かんでいた。遠目で見れば点画で描かれた歪な形の球のように見える剣の集合体。そのどれもが只の剣は一本たりともない。一つ残らず魔力を帯びた魔剣・魔刀の類。その剣は岩―――否、例え鉄であったとしても触れれば紙のごとく切り裂くだろう。
現に鉄さえ凌ぐ頑強さを持つ筈のワルドの身体が、突然現れた剣に対応出来ず接触した部分が大きく削れていた。
前後左右上下を取り囲まれ、十体のワルドは身動きが出来ない。移動することは出来る。しかし、先程までの高速移動は不可能。宙に浮かび苛立たし気に威嚇のように喉を鳴らす十体のワルド。
その姿はまるで鳥籠に囚われた鳥のようで。
士郎は上昇が止まり下降が始まった身体を動かし、足場の上に降り立つ。
恨みまがしい視線で自分を睨み付けてくるワルドたちを見回した士郎は、宣言するようにその名を告げる。
「―――The birdcage of a sword 」
空を行く鳥を墜とすための力の名を。
「これで、チェックだ」
士郎の不敵な物言いを合図に、十体のワルドが士郎に襲いかかる。バラバラに散開したワルドたちは、士郎を中心に球状に展開した。
そして、展開が終了すると共に士郎目掛け十体のワルドが一気に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ