第十一章 追憶の二重奏
第十話 剣の鳥籠
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れ上がり―――爆発した。
先程ワルドに弾き飛ばされ沼の中へと沈んだ干将・莫耶を爆発させ、その衝撃波を持って沼から脱出した士郎は、硬い地面へと降り立つ。そしてそのまま駆け出し周囲に見える木々の中で最も巨大な樹へと向かって駆け出した。足を緩めず木へと迫り、そして―――。
「―――ッ!」
速度を緩めずそのまま木の上を駆け上がった。
二十メートル以上はある木の頂上まで一気に駆け上がった士郎は、そのまま空へと向かって飛び上がる。ぐんぐんと空へと向かって飛翔する士郎の身体は、地上から軽く四、五十メートルの地点にあった。
轟々と唸りを上げる風の音を聞きながら下を見下ろす士郎は、不敵な笑みを浮かべながら話し掛ける。
「さて―――来るか」
今だ上昇が止まらない士郎がそう話しかけた瞬間、地上に十の爆発が起きる。
「―――何?」
地上から宇宙を目指すロケットのようにワルドたちが自分目掛け飛んでくる際の爆発だろうと理解する士郎だが、その顔は怪訝に染まっていた。
しかし、ワルドが追ってくるのは予想通りである。そのことに何の驚きもない―――筈であった。
だが、数が予想外であったのだ。
五ではなく十―――だと?
どういう事だ? と士郎が不可思議に思い―――同時に理解した。
―――まさか―――!?
答えは、直ぐに出た。
士郎の想像通りの答えが。
「十体まで可能と言うのか―――ッ!!?」
上空の士郎に、十体のワルドが襲いかかる。
予想通りの予想外の答えに、士郎の口から苦味切った声が漏れた。
十体……いけるか?
いや、五体がギリギリ許容範囲内だ。十体では囲いきれん。
囲むには百以上は必要だ。
だが―――それだけの魔力はない。
予想外の事態に士郎が作戦を変更しようとした―――その時であった。
遠く、森の上空に太陽が一つ生まれたのは。
見覚えのある白く光る巨大なそれは、かつて一隻の巨大な戦艦を破壊し尽くしたものであり。
「―――ふ」
士郎の硬く引き締められていた口元から吐息が漏れ、固くなっていた口元が緩む。
「ルイズ―――やったな」
口元を笑みの形に曲げた士郎は、ゆっくりと目蓋を閉じる。
今にもワルドたちが魔法を放って来るような状況で目を閉じるなど自殺行為のようなものであるが、今はそんなことを考えるような状況ではなかった。
目を閉じ、外界を切り離し、雑念を捨てる。己の内に意識を向け。一つの繋がりに意識を集中させる。つい先程まで弱々しい微かな糸のようだったそれは、今では数百年の古木の幹のような太さと存
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