第十一章 追憶の二重奏
第十話 剣の鳥籠
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体のワルドが放った四本の不可視の槍―――エア・スピアー。
一つは後方―――二体目の後衛が放った雷撃―――ライトニング・クラウド。
着弾は同時。
上を対処すれば前と後ろが、前を対処すれば上と後ろが防げない。
どちらも当たれば致命傷。
三方同時に対処するのは不可能。
どちらかを選ばなければならない。
―――ふむ、チェック―――か―――。
普通に考えれば詰みの現状。
しかし、士郎の顔に悲観は見えない。
それどころか、その口元には―――。
「―――だが―――まだチェック・メイトではないぞッ!!」
笑みが浮かんでいた。
腰まで沈んだ足を動かし目的のものを探り当てた士郎は、勢い良く足を振り抜きソレを自分の眼前へと飛び出させる。
「―――頼むぞデルフッ!!」
沼の中から泥に纏った姿で飛び出したデルフリンガーに、眼前にまで迫っていた四本のエア・スピアーが当たる。が、その結果は四本のエア・スピアーは吸い込まれるようにデルフリ
ンガーの中へと消えていく。
デルフリンガーの固有能力である“魔法吸収”である。
とは言え、魔法自体は吸収できても、その勢いまでは吸収出来るわけではないようで―――結果、支えがないデルフリンガーは軽々と吹き飛んでしまう。
「最近オレッチの扱い酷すぎないっ?! ねえっ!! 本気で酷くないッ!? 相棒おおおぉぉぉぉぉぉ!!!??」
吹き飛ばされるデルフリンガーの―――その行き先は―――。
「おんどりゃああああああ!! こうなりゃ意地でぇ! 一矢報いてやらああぁぁ!!」
士郎であった。
怨念混じりの怒声を上げて迫るデルフリンガーを士郎は顔を横に傾け「ひょい」と軽々と避け。
「やっぱそうだよねぇぇぇ!!?」
士郎の後へと飛んでいくデルフリンガーは、士郎の背後から迫る電撃とぶつかり、その魔法を吸収し。
「―――ああ、もう諦めたわ……」
先程と同じく衝撃をそのまま受け止め吹き飛んでいくデルフリンガー。
何処か悟ったような声を上げながら彼方へと消えていくデルフリンガーを一瞥することなく、士郎は上空から彗星の如く迫るワルドを干将・莫耶で斬り上げるのではなく斬り落とす。
斬るのではなく逸らす剣捌きで士郎が三体のワルドを叩き落とすと、下は硬い地面ではなく沼であることから、落下と斬り落としが合わさった加速は凄まじくワルドの身体は沼の奥深くまで一気に沈み込んでしまう。
そして、一瞬の間を置き―――。
「―――壊れた幻想」
士郎はチェックを宣言する。
瞬間、沼が膨
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