第十一章 追憶の二重奏
第十話 剣の鳥籠
[4/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、続いて後方のワルドが再度三体のワルドの背へ向け“ウィンド・ブレイク”を放った。軽量化により先程の倍以上の速度で飛び出す三体のワルド。その速度は凄まじく、三十メートル以上距離が離れていたのを一秒もなく食い尽くし、士郎が足を着けた木を破壊した。
根元から叩き折れた木の先は、枯れ木のように軽々と空へと飛んでいき。
「―――全く無茶をする」
飛んでいく木にしがみついた姿でぼやくようにそう呟いた士郎は、軽やかな動作で背後へと大きく飛んだ。蹴りつけられた木は真っ二つになりながらも、下で士郎を探し辺りを見渡す二体のワルドに向かう。ぐるぐると勢い良く回転しながら迫る木に気付いたワルドたちは、避けるでなく、迎え撃つのでもなく―――真っ直ぐ突っ込んだ。
「……まあ、そう来るよ―――なッ!!」
襲い来る木を木っ端にしながら突っ込んでくる三体のワルド。士郎は干将・莫耶を十字に交差すると、砲弾のように襲いかかるワルドを受け止めた。しかし、やはり踏ん張ることが出来ない空中。士郎は枯れ木のように軽々と吹き飛んでいく。
「……まあ、結果オーライと言ったところか」
吹き飛ばされた士郎は、自分が向かう先をチラリと見ると、口元に小さな笑みを浮かべた。視線を前に戻すと、士郎を吹き飛ばしたワルドがフライで迫って来ている。だが、士郎の移動速度の方がまだ速い。空中で再度襲われる可能性は少ない―――が。
「そう甘くはない―――か!」
吐き捨てるように言い捨てた士郎は、上空から襲いかかる不可視の風の刃を干将・莫耶で切り裂く。距離が離れた三体のワルドがエア・カッターを乱れ撃っているのだ。迫る風の刃を切り裂き切り裂き―――士郎は次々と襲いかかる風の刃と切り結ぶ。
「しつ―――こいッ!!」
大きく干将を振り抜き、十の迫る風の刃を纏めて吹き飛ばす。僅かに空いた空間に押し込むように、干将・莫耶を上空の二体のワルドへと投擲する。風の刃を切り裂きながらワルドへと向かう干将・莫耶。流石のワルドもそのまま突っ込むワケもいかないのか、風を纏った杖で干将・莫耶を弾き飛ばす。弾き飛ばされた干将・莫耶は、地面へと落ちていく士郎の横を通り過ぎていく。士郎は叩きつけられるような勢いで地面に降り立ち―――。
「―――ッ!!?」
顔を驚愕に歪ませた。
士郎が降り立った場所は地面ではなく―――、
「―――沼、か!?」
沼であった。
泥濘んだ大地に士郎の身体が股下まで埋まる。少しでも力を込めれば踏ん張ることも出来ずに沈んでしまう。
下半身が完全に埋没してしまった状況に焦る士郎。焦燥に駆られる士郎に、三つの脅威が襲いかかる。
一つは上空―――エア・ニードルを構えて二つの弾丸となった三体のワルド。
一つは前方―――後衛の一
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ