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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
『祭』夕方〜夜
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私の方に近づいてくる。ダメージは相手の方が上。ただ気力も相手が上だったようです。仮面の奥の顔はさぞかし怒り狂っていることでしょう。
 残った装甲脚が私に向けられて先端が光を放つのと、避けようと私が体を捻ろうとした瞬間、天井が崩れ落ちそのガレキが砲撃を遮った。
 そしてそのガレキに続いて降りてきたのは一つの大きな影。

「ここかぁ! この鬱陶しいジャミングの中心はぁ!」

 そう言いながら降りてきたのは、特徴的なこげ茶色と、まるで翼のように肩から手先まで覆うほどのシールドを両手に装備したアメリカ試作第3世代IS『ヴァルチャー』。搭乗者は……

「え、エリスさん!?」

「ん? おお、カスト候補生じゃん。何か面白そうなことに巻き込まれてるなあ」

 エリスさんが軽口を叩いて私の方を振り返る。って振り返ってどうするんですか!
 私がそう思うのとエリスさんの背中が光るのは同時で、『アラクネ』が再度攻撃してきたのが分かる。でもエリスさんはその攻撃を振り返ると同時に右手のシールドを振り抜くことでその攻撃を払い飛ばした。

「邪魔するなら……手前から殺す!」

「へいへいへいへい、物騒な台詞吐くねえ。亡国機業」

 エリスさんはそう言いながら両手のシールドを構える。

「その機体はウチ(アメリカ)のだ。返してもらおうか」

「へえ、アメリカの候補生さんか……よ!」

 その瞬間『アラクネ』の残っている装甲脚がエリスさんに向けられる。先端から射出される極細の糸がエリスさんの四肢に絡みついた。やっぱり、糸だ。シールドごとエリスさんが細かい糸で拘束されてしまう。

「エリスさん!」

「は! 後ろのガキみたいになりたくなかったら……」

「よ!」

 エリスさんが気合いの声を出すと同時に『ヴァルチャー』のシールドの表面が光った。薄い茶色に輝くエネルギーの翼が展開され、その翼が絡みついたエリスさんの糸を全て切り裂く。
 あまりにもあっさりと拘束を解かれた『アラクネ』が少しだけ後ずさる。

「福音のデータを元に作った『シールドウィング』だ。見るのは初めてか?」

「ちぃ! だが『こいつ(白式のコア)』さえありゃぁ……」

 不利と判断したのか、敵が残りの装甲脚すべてを頭上に向けて砲撃する。落下してきた天井と砂煙で視界と進路が塞がれた。まずい、このままじゃ逃げられる!

「逃がすかぁ!」

 そう思った瞬間『アラクネ』の右腕に誰かが飛びついた。一瞬エリスさんかと思ったけど彼女はまだ私の前から動いていない。ISを展開しているには小柄すぎる。それにこの声……女の人の声じゃない!

「「「な!?」」」

その場のIS操縦者全員の声が重なった。飛びついたのは……一夏さんだったからだ。まさか生身の人
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