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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
『祭』夕方〜夜
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な感覚がする。慌てて相手との距離を取ろうとして……私の体はそのままその場で固まった。

「ぐ……何、これ!?」

 右腕に感じた違和感が今度は背中、足、左腕……全身から感じる。それを振り払うように動くけど、もがけばもがくほどその粘着力は増すようで、私の動きはどんどん鈍くなっていく。

「ぎゃはははは! 愚かな虫けらは自分が糸に掛かったことすら気づかなかったか? 私たち(亡国機業)が奪ったものをそのまま使っているわけねえだろうが!」

 その声に顔を上げると『アラクネ』の仮面が私の顔の目の前にあった。私の顔を見ると満足したのか一度離れて装甲脚を動かすと、私の体はまるで空中で磔にされるかのように大の字に固定された。
 これは一体……そもそもなんで……
 正体を知ろうとするけど、『オーガスタス』のジャミングが切れるまでまだ時間があるせいで正体が分からない。ただ視認できない何かに私が囚われているのは確かだ。ラウラさんのAICみたいなものかもしれない。

「く……この!」

 腕を思いきり振ろうとしても腕全体が縛られているかのように指先しか動かすことができなかった。

「無駄だ無駄無駄! 冥土の土産に教えてやるよ。この糸はさっきのガキに使ったエネルギーワイヤーとは違う。目に見えない程の極細の粘着性の高い糸だが命に支障がねえ程度の強度しかねえ。だから絶対防御が発動せずに糸は切れねえのさ。だがそれが何重にも絡まれば今の手前みてえな虫けらを無様に捕まえられる正に蜘蛛の糸だ。一つ勉強になったなあ?」

 蜘蛛の糸……そうか。蜘蛛の糸の強度は同じ大きさの鋼鉄の5倍以上。敵の言動からして私の体にはさすがのISも動けない程相当数の『糸』が絡みついているはず。非常灯の明かりで薄暗い更衣室の中、よく目を凝らしてみるとあちこちから無数の光が反射している。ロッカーや床、天井を無駄に破壊していたのはこの糸を付着させるのをバレさせないためということだったんだ。

「いいねえその顔。その顔が今から苦痛に歪むと思うと……なあ!」

「げほっ!」

 不意に来た腹部への衝撃に思わず声が漏れる。見ると『アラクネ』の左拳が私の腹部を殴りつけていた。この人も『サイレント・ゼフィルス』の操縦者と同じように絶対防御が発動しない程度の強さで人を痛めつける術を知っている。

「ひゃははは! 思った以上にいい顔をしやがる! さあさあお嬢ちゃん? もっと私を楽しませてくださいなっと!」

「がっ! あっ………ひぐっ」

 繰り返される腹部への衝撃に必死に耐える。衝撃が来るたびに堪えきれなかった息が苦痛の声となって口から洩れ出てしまい、その声を聞くたびに自分が遊ばれているのだと実感してしまう。

「ああ〜……いい声だ。このまま四肢を引きちぎったらどんなに快
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