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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
『祭』夕方〜夜
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カスタム』か? それを寄こしな。そうすればこの場は引いてやる」

「論外ですね。渡した瞬間殺されるのが目に見えます」

「ち、そりゃあそうだよなあ。じゃあ仕方ねえ」

 やっぱり、考える必要もない内容だった。時間稼ぐつもりが一瞬で交渉が終わってしまう。一応私からも確認したいことがありますし、少しだけ時間稼ぎましょう。

「私からも一つ良いですか」

「あ?」

「あなたは『亡国機業(ファントム・タスク)』ですね?」

「へえ、私たちのこと知ってんのかよ。そこのガキよりかはちっとは世間を知ってるじゃねえか。だがまあそれにしてもお前にやることは変わらねえ」

 否定しない、ということは確定。『アラクネ』が話は終わったとばかりに地面に降り立つと全ての装甲脚で更衣室の壁、地面、天井を貫いた。

「てめえのISもこの部屋みたいにグチャグチャにしてから奪うまでよ!」

 言葉と同時に装甲脚がそれぞれ意思のあるように別々に動き出す。今までより数段複雑な動きで正直見ているだけで気持ちが悪い。更にはそこかしこからロッカーやはぎ取られた床材、天井の鉄板が飛んでくる。これらは大したダメージにはならないけど視界がいちいち封じられて面倒だ。飛ばしてきた物を弾くとその真後ろから直接装甲脚の先端が飛び出してきたのでしゃがむことでなんとか回避する。正面から飛んできた弾丸は盾そのものを地面に突き刺すことで壁にして防いだ。

「ちょこまかちょこまか……鬱陶しいんだよ!」

 私のいる部分への集中砲火。でもそれは私自身ではなくて周辺に逃げ道を無くすように弾丸が叩き付けられる。牽制……ということは……
一瞬だけ埃と煙で視界が封じられ、次の瞬間壁にしていた盾の裏から8本全ての装甲脚が私めがけて迫ってきて……これを、待っていた!
 左手を天井に掲げて『ユルルングル』を射出。天井に深々と突き刺さった鞭を収納することで無理やり体を宙に引っ張り上げた。ブースターを使えば熱量で居場所がばれてしまう。でもこの方法ならジャミングでセンサーが封じられていた相手からも私の動作は確認できない。
 そして再度瞬時加速を発動する。天井近くを一瞬で通り抜け、相手の無防備な背中を取った。

「何!?」

振り向くと同時に『マリージュラ』のエネルギー刃を最大展開し、相手の無防備な背中にある装甲脚の付け根へと振りかぶる。倒すことは出来なくてもこれでいくらかは状況がマシになるはず。
 相手は反応できてない。これなら確実に相手の戦闘力を減らせ……

「……なーんつってな」

「え……!?」

 相手の意地の悪い声が聞こえた途端、私の振り下ろした手が急停止した。いや、何かに止められた。右腕に何か違和感を感じる。まるで何か粘着性の高いものが腕に纏わりついているよう
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