四話
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お追従役に徹していたわたしに、十数の視線が集まった。笑みが凍った。鏡に映る自分の笑顔は、あまりにも滑稽だった。
「えっ。もってないよ……?」
「嘘。文乃、顔に出るんだもん。今鞄持ってきてぶちまけてもいいんだよ?」
やばいやばいやばい。
わたしの鞄の中には、綺麗に四つ折りされて皺を伸ばされたテストが三枚、きっちり入っている。
教科書は置き勉だけど、彼のテストだけは、いつ返せるタイミングが来るかわからないから、肌身離さず持ち歩いていた。
わたしの沈黙に、多くの生徒が肩をそびやかした。今にも殴りかからん勢いで詰め寄られ、どういうこと、裏切り者、と叱責される。頭がついていかない。わたしはどうして責められているんだろう。幼馴染のテストを、拾ってあげただけなのに。
リーダー格の女が「じゃあさっきの、やってくれるわよね」と言った。わたしは、首を縦に振ることしかできなかった。
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