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落ちこぼれの皮をかぶった諜報員
 第9話 戻ってこない日常
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アドシアードが終わり数日――


「屋上はいつ来ても気持ち良いね〜」
「快晴の日なんて最高だよな〜」



屋上で2人の武偵が話している。



「なあ、勇人、凍った手は大丈夫なのか?」
「うん、なんとかね。はあ……最近ついてないよね。カルテットとか、アドシアードとか、アドシアードとか」
「アドシアードが2つ入ってるぞ。そしてカルテットで何があった――ああ、察した。組む奴がいなくて参ってたんだな」


「何故分かったし……」
(雄一ってエスパーなの?)


「中学の頃からの縁だぜ? 流石に分かる」
「そういえば雄一、今度、武偵ランク定期外考査があるけど大丈夫なの?」



武偵ランク定期外考査とは、武偵校の生徒のランクを上げる事を目的とした考査。筆記・実戦試験の成績や解決した事件の多さなどのデータを見て、教務科が許可を出した生徒のみ受けられる。PCを使った記述式試験・CQCと射撃による技能試験・教務科が定めた相手と1対1の対戦を行う実戦試験が主な内容だ。



「ああ、心配するな。とっとと終わらせてCかBになりあがるさ。でも、お前はなんで受けられないんだ?」
「筆記・実技試験の成績が悪いからだろうね」
「それじゃあ、真面目にやればいいじゃないか……お前、他のクラスの連中から落ちこぼれ扱いされてるんだぞ。見返してやろうとか思わないのか?」
「そういうのって面倒くさいからな〜。早い話、雄一たちが僕の活躍を広めてくれたらいいんだけど……まあ、武偵高出たら本気出すよ」
「絶対に誰も信じないぞ……つーか本気出すの遅すぎだろう……。武偵じゃなかったら積んでるぞ」
一々、ご尤もなことを言う。



「雄一は武偵高出たらどうするの?」
「俺は……普通に武偵だな。お前は?」
「僕も普通に武偵かな……行く所もないし」
(誰も“裏”を故郷なんて思う奴はいないだろう。もし、いたら……変わった趣味をお持ちなのだろう)

「じゃあ、俺と組まないか?」
「え?」
「俺は実家に戻る気なんてないし、お前も行く所がないなら丁度いいじゃないか」
「……そうだね。確かにそれも良いかもしれない」
「よし、男同士の約束だ!!」
雄一が拳を突きだしてくる。


「……ああ!」
勇人も拳を出して雄一の拳に軽くぶつけた。



「ところで勇人よ……」
「なんだい?」
「俺たちHRサボってるけど……大丈夫だろうか……」
そう、腕時計を見てみたらすでにHRが始まってる時間だった。しかし勇人は……。


「僕はあらかじめ、間宮たちに救護科に行ってるからHRにでれないって先生に伝えてもらえるように言っておいたから大丈夫だよ」
「…………。裏切ったな勇人!!! 許さんぞおおおお!!!!」

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